［高校選手権 準々決勝］市立船橋（千葉）２－１ 名古屋（愛知）／１月４日／柏の葉

　第102回高校サッカー選手権の準々決勝で、名古屋は市立船橋と対戦し、１－２で敗れた。全国屈指の名門を相手に接戦に持ち込んだ一戦で、相手のエースである郡司璃来にマンツーマンで対応したのが、２年生DF太田陸斗だった。

　太田は、広範囲にわたって郡司を“監視”。後半２分に痛恨の決勝弾を許したものの、清水内定のストライカーに「前半は、ほぼ何もできなかった」と言わせるほどの徹底したマンマークで食らいついた。

　優れた対人能力を買われての大役だった。太田は３回戦の岡山学芸館（岡山）戦で、相手アタッカーを“完封”したことから、市船のキーマンである郡司のマークを任されたのだ。

「『やってやろう』という気持ちでいっぱいでした。僕が抑えたら、勝てる確率が上がると思っていました。『無失点で抑えよう』『仕事をさせない』という気持ちで臨みました。会場の雰囲気なども、試合するにつれて慣れていったので、良い意味で緊張を楽しめました」

　郡司を大いに苦しめた一方で、実力の高さも痛感させられた。
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「抑えられている部分はありましたけど、一瞬でマークを外されて、ボールがもし来ていたら、危なかったシーンもありました。駆け引きだったり、一瞬のスピードは、本当にレベルが高かった。

　試合を通してフラフラしているというか、 良い意味で、はっきりとしないようなポジショニングで、捕まえづらい部分もありました。ゴール前の一瞬の速さには、『これがプロに行く選手なのかな』と感じました」

　そして、失点シーンの判断を悔やんだ。

「先に、ボールと郡司選手の間に身体を入れて、コースに入ろうと判断しました。結果として、前で触られて、足を出されて、決められてしまいました。身体で抑えながらも、しっかり自分が先に触ってクリアしていれば防げたので、後悔が残っています」

　無念の敗退に、「悔しい気持ちしかなくて、３年生とサッカーができなくなってしまう。あと一勝で国立だった悔しさが大きいです」と語る太田は、最上級生となる来年に向けて「一からのスタートなので、切り替えて、また新しくやってくしかないです」と気合を入れた。

取材・文●野口一郎（サッカーダイジェストWeb編集部）

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