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福田師王をイメージして奪った残留弾。神村学園FW西丸道人が背中に宿す“13番”の誇り。ベガルタ新監督との出会いは「かなり楽しみ」

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2023年12月10日

「あ、これ師王さんだったら」

福田から13番を受け継いだ西丸。「自分がなんとかしないといけない立場」を自覚し、強い責任感でチームを引っ張る。写真:安藤隆人

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 昨年の神村学園の絶対的エースであり、世代を代表するストライカー福田師王(現ボルシアMG)。高校サッカー界の最注目選手が背負っていた「13番」を引き継いだのが、ベガルタ仙台内定のFW西丸道人だ。

「13番を託されましたが、それで僕が師王さんになるわけではないので、師王さんの強引に行くところは取り入れながらも、得意である味方を活かすプレーも磨いて、ゴール前でシュートとパスの冷静さを武器にやっていきたいと思います」

 春先に西丸はこう口にしていた。当然、大きなプレッシャーはあるが、それも自分を成長させるための大きなチャンスと受け止めて、この1年を過ごしてきた。

 西丸は自分のプレーと向き合った。福田のゴール前やフィニッシュまでに持ち込んでいくアイデア、イメージを大切にしながら、自らの得意とするキープ力とシュートセンスをとことんまで磨いていく。

「昨年は師王さんや(大迫)塁(現セレッソ大阪)さんのおかげもあって、良い状態でボールを受けてからプレーすることができました。逆に自分がボールを受けた時も、キツかったら塁さんに落としたり、師王さんなら多少アバウトなボールでもなんとかしてくれる部分があったので、パスを預けたりしていました。

 でも、今年はそれがなくなって、逆に自分がなんとかしないといけない立場になる。だからこそ、今年は連係でも個でも点を取れる存在になりたいし、多少アバウトなボールを収められる選手になったり、一発の抜け出しで勝負をつけて決め切れたりと、逃げるプレーをなくしていきたい」

 甘えを捨てたこの決意を、西丸は見事にプレーで表わしている。169センチと小柄だが、上手く上半身を使ったプレーで、前線でフィジカルの強い相手に対してロックしながらボールを受けたり、ターンからドリブルで強引にこじ開けたりと、味方を活かし、かつ味方のベクトルを前に向けるプレーでチームの攻撃を牽引する。

 インターハイでは初戦敗退という憂き目にあったが、プレミアリーグWESTでは得点ランキング2位タイにつける14ゴールをマークし、残留争いのなかで気を吐いて、最終的には残り1節で残留を引き寄せた。
 
 残留を決めたプレミアリーグWEST第19節・履正社戦(2-0)では、攻め込めどなかなかゴールを奪えない嫌な展開だったが、63分にDF吉永夢希の右からのクロスに頭で合わせ、先制弾を叩き込んだ。

 このゴールこそ、西丸が背中を追い続けている福田の動きが重なったシーンだった。クロスに合わせる前、左CKが右サイドに流れた瞬間、頭の中には「あ、これ師王さんだったら」というイメージが浮かんだという。

「クロスに入り込む時に、師王さんはいつも、一度相手の視野から消える動きを入れるんです。そこからオフサイドにならないように絶妙なタイミングで飛び出す。キーパーの前に入って先に触って決めるというシーンを何度も見てきた。(名和田)我空のボールが通り過ぎた瞬間に、周りの選手がボールに目線が行っているのが分かったので、まずは彼らの視界に入らない場所に入りました。

 そこからぱっと右を見たら、夢希のところにボールが行ったので、左利きの彼であれば、ゴールに向かってくるクロスを上げてくると確信したので、相手ディフェンダーの背後から飛び出そうと準備しました」

 吉永が左に持ち替えた瞬間、ボールを見ながらラインを上げた履正社DFの背後に潜り込みながら、一度相手に合わせて戻るステップを踏んだ後に、吉永が左足でクロスを上げた瞬間、ゴール前に飛び出した。そして山なりのクロス。完全にフリーになってGKより一瞬早くヘッドで合わせて、ゴール左隅に流し込んだ。

 ゴール前にいた履正社の選手は、西丸の動きを掴み切れていなかった。まさに福田のお株を奪うようなビューティフルゴールだった。

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