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「戦術になれるならなんでもいい」PSV戦の手痛い敗北にも上田綺世は“自分の存在意義”に光明。「必要とされるのは嬉しいことです」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2023年12月04日

さすがに首位PSVとの勝点差10には「けっこう大きい」

PSV戦の71分から登場した上田(右)。前線のターゲットマンとして奮起も得点には絡めなかった。(C)Getty Images

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 12月3日、オランダ・エールディビジの首位を走るPSVが敵地で2位フェイエノールトを2−1で下し、14連勝を飾った。

 これで両チームの差は勝点10に拡がった。メディアからの「PSVの優勝は決まったようなものでは?」との問いにペーター・ボス監督は「ナンセンス。あと20試合も残っている」と答えたが、フェイエノールトのアルネ・スロット監督は「2位狙いにフォーカスする。この順位なら来季もチャンピオンズリーグに出場できる」と現実的に語った。
  
 この日もベンチスタートだった上田綺世は0−2のビハインドを負った71分からピッチに入り、エースストライカーのサンティアゴ・ヒメネスと2トップを組んだ。そのヒメネスが81分、強烈な左足ミドルシュートでネットを揺らし、フェイエノールトが1点差に詰め寄ったが、それまでだった。

 14試合で勝点32は、例年なら上々のもの。しかし今季のPSVは、欧州チャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)を制した1987-88シーズンの開幕17連勝に迫る勢いだ。上田は「(勝点)10の差はけっこう大きいと思います」と語る。

「僕らもたぶん、他のリーグだったら1位ぐらいの成績を残していると思うんです。全勝の相手にここで黒星をひとつ付けることができれば、相手のリズムがちょっと崩れる可能性もあった。今日の負けはそのぶん、相手を勢いづかせたし、僕らの勢いは止められたような。ちょっと痛い負けでした」

 アディショナルタイムの6分を含めると、PSV戦で25分間プレーした上田は、パワープレーのターゲットとして空中戦で勝ち続け、時にはボールをしっかり収めてポケットを突くシーンもあったが、シュートを撃つまで至らなかった。

 ボールのないところでの動きの質でシュートチャンスを作り出すタイプの上田としては、ジレンマを感じるPSV戦の展開だったのでは?

「空中戦であれ、なんであれ、自分を必要とされるのは嬉しいことです。そこでひとつ、チーム戦術になれるのであれば、僕は別になんでもいい。とりあえず、そう思っています。ああいう風に(ロングボールを)蹴ったなかで自分がすらしてチャンスを作ったり、自分が(ゴール前に)入っていって、というのができれば自分の存在意義にもなります」
 
 CLのアトレティコ・マドリー戦に続くヒメネスとの2トップ。9月のアヤックス戦ではCFヒメネス、左ウイング上田という配置から擬似2トップを組んだこともあった。まだこのコンビは機能してないが、両者がお互いの立ち位置を確認しながら息を合わせようとする姿勢は伝わってくる。

「サンティ(ヒメネス)がどういう動きをしたいのか、なんとなく分かっています。それはサンティも同じ。だからストレスはないですね」と上田は言う。

「サンティは2トップになるとサイドに流れて開きたがるタイプなので、自分はなるべく真ん中にいる。また、フェイエノールトの中盤には上手い選手がいっぱいいる。CB、SBから(フィードを受けて敵の)背後を取りに行くこともできますが、やはり(相手の)レベルが高ければ高いほどゴールには繋がりにくいので、なるべく“自分の一個手前の選手”に有効的にプレーしてもらう必要がある。PSV戦だったら8番(ティンバー)、10番(ステングス)の選手がいい形でボールを受けられるように三角形を作ったり、動き出したりすることを意識しています」

 機動力のあるティンバー、左足の創造的なプレーが魅力のステングスが前を向いてプレーできれば、ヒメネス、上田を絡めた迫力ある攻撃が可能になる。

「2トップなんで、真ん中で“3対2”の数的優位を作ったり、そういう局面に持っていける。彼らがアグレッシブなプレーができるようにすることを心がけています」
 
 ここまで1ゴールは不本意なもの。しかし、能力に加え、得点への道筋を言語化できるストライカーだけに、きっかけさえ掴めば、再現性のあるゴールパターンがチーム内で生まれるだろう。

取材・文●中田 徹

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