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「ストレスはあった」初戦白星にも浮かない顔。鹿島の有望株・松本遥翔はワールドクラスのアタッカーをどう抑えるか。気負わず、自然体で楽しみたい【U-17W杯】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2023年11月12日

アジアレベルでは味わえない破壊力

ポーランド戦で悔しさを味わった松本。世界の舞台で痛感した現在地。この経験を力に変えたい。写真:松尾祐希

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 横殴りの雨が容赦なく降り、試合は途中で一時中断。内容としてもチームが勝ったとはいえ、自身の出来には悔しさが残る。パワフルな相手のアタッカーに手を焼き、身体能力を武器とする鹿島の有望株は、何度も相手に突破を許した。

 現地11月11日に行なわれたU-17ワールドカップのグループステージ初戦。欧州予選4位のポーランドに対し、我慢を強いられながら何とか凌ぎ、終盤にFW高岡怜颯(日章学園)が奪ったゴールを守り切って1-0。白星スタートを切った。

 一夜明け、U-17日本代表は午前中にトレーニングを実施。スタメン組と後半開始から出場した山本丈偉(東京V)はリカバリーメニューを消化し、残る選手はミニゲームやシュート練習を中心に1時間20分ほど汗を流した。

 チームの雰囲気は明るく、練習後に行なわれたバンドン日本人学校の子どもたちとの交流会では笑顔が溢れた。しかし、試合の話になると、厳しい表情を見せた選手がいる。鹿島ユースの右SB松本遥翔だ。

 ポーランド戦ではスタートからピッチに立つと、序盤からほぼ何もさせてもらえず、悔しい想いを味わった。前線に2人を配置し、トップ下にも2人いる攻撃的な3-5-2で臨んできた相手に、序盤から振り回された。特に松本が対峙したポーランドの左サイドは強烈。常に複数人が関わり、テンポ良くボールを動かされて、ボックス角のポケットに何度もボールを運ばれた。

「ストレスは確かにあった。やっぱり、どんどん関わってきて、裏にも抜けられて、前半は特に上がり下がりが激しかったので、体力的に本当にきつかった」

 マークに付く相手が定まらず、次から次に湧き出てくる相手のアタッカーはサッカーIQに加え、個の能力も高い。アジアレベルでは味わえない破壊力があった。

 消極的な姿勢は攻撃面にも現われ、ボールを受ける回数は限定的。決して逃げたわけではなく、パスを受ける気持ちもあったが、今振り返れば、「自分がもらえる状況でも、ゴリさん(森山佳郎監督)から見えれば、受けたくないというふうに見えたかもしれない」と松本は言う。

 実際にボールを受ける動きは少なく、もらっても慌ててリターンする場面が散見。味方に合わず、ショートカウンターを浴びる一因になった。
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 元々、松本は1対1に強いタイプ。身体能力が高く、森山ジャパンやクラブではCBでも起用されている。しかし、世界ではそう簡単にやらせてもらえなかった。

 自分の現在地を知り、それを自分の力にどう変えていくか。幸いにも2戦目のアルゼンチンや3戦目のセネガルには、強烈なアタッカーが対面にいる。

 特にセネガルには、A代表歴がある若干15歳のFWアマラ・ディウフが左サイドに陣取っており、マッチアップする可能性が高い。アルゼンチンとの初戦では個の力で2ゴールを挙げ、15歳とは思えないスピードと強さで相手を翻弄した。

 松本は初戦で感じた課題を踏まえ、ワールドクラスのアタッカーを抑えなければならない。だが、プレッシャーを感じてばかりでは、良さを出せないのも事実。そのためには、この舞台を楽しむ必要がある。

「個人のところでは負けられないし、1試合1試合、自分の成長ができればと思うし、一番は楽しむこと。楽しみながら成長して、自分の良さを出して、ゴリさんと一緒に世界にアピールしたい。でも、一番はチームが勝つこと」

 気負わずに自然体で――。14日のアルゼンチン戦は成長した姿を見せるべく、誰よりもサッカーを楽しむつもりだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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