因縁のある相手と激突する。

　アジア競技大会で３連覇がかかる韓国は、準々決勝で開催国の中国を下して４強入り。10月４日にファイナル進出をかけて戦う相手は、1994年大会以来の優勝を目ざすウズベキスタンだ。

　韓国にとって、ウズベキスタンとの対戦には苦い思い出がある。韓国メディア『オーマイ・ニュース』が「油断が招く危機、1994年の広島『悪夢』を思い出す」と題した記事で、当時を振り返る。

「ウズベキスタンは、1994年の広島大会で一度だけ金メダルを獲得した経験がある。当時、準決勝で最も有力な優勝候補とされていた韓国を破って決勝に上がるという異変を起こした。韓国サッカーにとっては今でも『広島の悪夢』として記憶されている黒歴史だ」

　94年時のアジア競技大会では年齢制限がなく、フル代表が参戦。現在のU-24韓国代表で指揮を執るファン・ソンホン監督ほか、ホン・ミョンボ、ハ・ソクジュ、ユ・サンチョルなど、名だたる名手たちがメンバーに選ばれていた。

　準々決勝までの４試合で計16ゴール。圧倒的な攻撃力を武器に、ベスト８では三浦知良や前園真聖、井原正巳らを擁するホスト国の日本を３－２で撃破。記事では「韓国は優勝に向けて最も重要な関門を越えたという評価を受け、決勝までこれ以上のライバルはいないように見えた」と回想する。

　それが油断につながったか。準決勝のウズベキスタン戦では、ポゼッションでもシュート数でも相手を大きく上回ったが、なかなかゴールをこじ開けられない。そして65分、相手のミドルシュートで被弾。これが決勝点となり、０－１で敗れた。

　３位決定戦では、グループステージで０－１の敗戦を喫したクウェートに１－２と再び、軍門に下った。一方のウズベキスタンは決勝で中国を４－２で下し、金メダルを手にした。
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　それから29年の月日が流れ、当時は選手だったファン・ソンホンは、監督としてウズベキスタンと再会することに。『オーマイ・ニュース』は「広島の悪夢が韓国サッカーに残した最大の教訓は、『油断は危機』という事実だった」と記し、警戒を強める。

「サッカーでは戦力差を問わず、当然の勝利は存在しない。客観的な戦力では韓国が確実に優勢だと言われているが、ウズベキスタンがサウジアラビアを下し、香港がイランに勝ったように、1994年のような異変はいつでも繰り返される可能性がある」

　韓国は前回大会でも準々決勝でウズベキスタンと対戦。ファン・ウィジョがハットトリックを達成した一方、守備では３失点。３－３のタイスコアでもつれこんだ延長戦の末、ファン・ヒチャンのPKで接戦を制した。結果的に連覇を飾ることになる同大会で、ウズベキスタン戦は最も難しいゲームだったという。

　その難敵を今回も下せば、「決勝の相手は日本が有力だ」と同メディアは展望。「韓国が決勝で日本とあたれば、前回のジャカルタ大会の決勝に続き２回連続となる」とし、理想的なエンディングを期待する。

「ファン・ソンホン監督は、昨年のU-23アジアカップ準々決勝で、日本に０－３と完敗した経験がある。日本との再戦で雪辱を果たして、アジア大会３連覇を達成するという完璧なシナリオになる見通しだ」

　準決勝のもう１つのカードは日本対香港。果たして、日韓による頂上決戦は実現するのか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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