シンプルに敗戦の悔しさがある。ただ、それ以上に伊藤翔はもどかしさを募らせる。「本当はみんな、もっとできるはずなんだから」。

　９月17日開催のJ１第27節で、横浜FCは残留を争う柏レイソルとホームで対戦。１－２で敗れた。

　相手の勢いに押されて、やや受けに回ってしまい、前半だけで２失点。終了間際にマルセロ・ヒアンが１点を返したが、反撃もそこまでだった。

　柏対策は入念に準備してきたが、それが裏目に出てしまった部分はある。ピッチ上で起こる事象への柔軟なリアクションで、少なからず課題が見て取れた印象だ。

　それでも伊藤は、「軌道修正は全然できると思うし、そこをもっとやっていければ、僕らももっと良いチームになっていく」と確信。柏戦で「勝点３を取れなかったのはめちゃめちゃ痛い」が、「教訓にしていかなければいけない」と言葉に力をこめる。

　４－１で圧勝した25節の横浜F・マリノス戦の経験も含め、「これをやれている時は、俺ら良いよね」という感触は得ている。一方で、それだけでは不十分だと伊藤は考える。

「これをやらなかったら悪くならないよね、というのも持っておかないと。こういうミスをしないとか、最低限のことをやれば、70点、80点とかのゲームにできる、みたいな」
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　最悪の事態を回避するための「最低保証」。伊藤は独特の表現を用いて、その重要性を強調する。

「柏に負けたけど、そこまで落ち込んでいないというか、感覚としては『なるほど、こういうのもあるのか』って。こうやってはいけないという、ボーダーラインみたいなのが見えた」

　J１は残り７試合。横浜FCは最下位の湘南ベルマーレと勝点１差の17位。16位の柏とは４ポイント差だ。熾烈な残留争いが続くが、チームは一枚岩になって戦えている。

「みんなで集まってしゃべれば、こうだよねっていう話にもなる。話し合いの“噛み合わせ”が上手くなってきたというか、だいたいみんなが同じような意識で、こうだよねっていう話がスムーズにできている」

　方向性の共有化をさらに進めて、次の試合に臨む。柏に痛恨の敗戦も「意味のある負け」にしなければならない。23日に敵地で迎えるアルビレックス新潟戦で成果を出したい。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェストWeb編集部）

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