現地８月16日、オーストラリア＆ニュージーランド共催の女子ワールドカップは準決勝第２試合が行なわれ、イングランドが地元オーストラリアに３－１で快勝。スペインが待つファイナルの舞台に駒を進めた。
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　どちらが勝ってもワールドカップ初制覇となる世紀の一戦。英紙『Daily Mail』は対戦相手であるスペイン女子代表チームの底力にあらためて感服した。というのも、この数年間に渡ってチームはたびたびスキャンダラスな出来事に見舞われてきたからだ。

　同紙は「その中心に常にいたのがホルヘ・ビルダ監督だ」と指摘。代表選手たちと指揮官の間には絶えず軋轢があったと報じている。

　スペインのU-17やU-19女子代表での指導を経て、2015年から女子Ａ代表の指揮を執っているビルダ監督。就任直後にさっそく国際大会でチームを優勝に導くなど辣腕を振るったが、選手たちとの信頼関係は上手く構築できなかったようだ。

　2019年まで、年長の代表選手たちはホテルの部屋の鍵を閉めてはいけないと指示された。ビルダ監督が部屋やコンディションをチェックして初めて、施錠が許されたという。さらに、監督と特定の選手たちとの親密な関係も疑問視され、ビルダ氏の実父がスペイン・サッカー連盟女子部門のトップであることも何かと反感を買った。

　そして2022年７月、選手たちの不満が爆発する。EURO2022の準々決勝でイングランドに１－２で敗れた試合後、ベテラン選手たちを中心にビルダ監督の戦術やトレーニング、対戦相手のスカウティングなどがすべて不十分であると主張し、解任を求めたのだ。スペイン連盟のルイス・ルビアレス会長にも直談判したものの、会長はビルダ政権の支持を明言して事態をあっさりと収束させてしまう。
 

　２か月後の９月、代表メンバー発表を前に、今度は15人の代表メンバーが連盟宛にメールを送り、「メンタルヘルスの観点から、私たちはビルダ氏が監督である以上、今後招集は受けられない」と強硬手段に打って出る。だがこのアクションに対しても連盟側は「深刻な違反行為だ」と非難して突っぱねた。

　前代未聞の反乱を経て、ビルダ監督がどのような23名を今大会のメンバーに選出するのかが注目された。結果、クーデターを起こした15名から選ばれたのは３名のみ。『Daily Mail』紙は「選考外となった12名にはバルセロナのマピ・レオン、パトリ・ギジャーロ、クラウディア・ピナ、そしてアトレティコ・マドリーのGKローラ・ゴジャルドらが含まれていた。とりわけレオンとギジャーロの欠場は、本来ならば戦力的に大きな痛手となったはずだ」と説明している。

　ところが、大会が開幕するとチームは力強く勇躍した。グループステージの日本戦こそ０－４の惨敗を喫したが、決勝トーナメントに入ってからはスイス、オランダ、スウェーデンを持ち前の攻撃力でねじ伏せて堂々のファイナル進出。同紙は「苦しいメンバー構成のなかでスペインがここまで到達すると、誰が予想できただろうか。驚異的な結果である」と称賛した。