レアル・マドリー・カスティージャ（Bチーム）に所属する18歳のMFニコ・パスは、90年代後半にテネリフェ（当時は１部に所属）で４シーズン、DFとして活躍したアルゼンチン人のパブロ・パスの二世選手だ。

　今シーズンは、アルバロ・アルベロア率いるフベニールA（U-19)で開幕をスタートしたが、バルサ・アトレティックとの“ミニ・クラシコ”（２戦合計５－４）となった２部昇格プレーオフ準決勝で活躍を見せるなど終盤にはカスティージャの主力に定着した。

　飛び級での昇格だが、アンダーカテゴリーに詳しいアナリストは「ニコが他の選手よりも早く昇格したのは、身体能力と体格に恵まれているからだ。186センチの上背があり、筋肉質で、上半身も非常に強い。フベニールでは物足りなさを感じていたはずだ」と、抜擢の背景を推測する。

　アントニオ・リュディガーもまた、そのフィジカルコンタクトの強さに着目した１人で、トップチームで一緒に練習した際に、ガツガツ向かっていく姿勢を高く評価していた。
 

　技術面においても、「俊敏で視野が広い。ビルドアップよりもゴールに近い位置、アタッキングサードで持ち味を発揮するタイプだ。創造性豊かなプレーが魅力で、周りと連携しゴールに迫る。ラストパス、その一つ前のパスの出し手として優れている」と前出のアナリストは分析する。

　利き足は左足。右サイドからカットインして、フィニッシュに絡むプレーが十八番だ。前述のバルサとの第１レグでも、その形から先制ゴールを叩き込んだ。

　いうまでもなくマドリーはスター軍団だ。そんな中、ニコ・パスは「聞いて、見て、黙る」を実践し続けており、そのクレバーさが周囲から一目置かれる要因にもなっている。

　マドリーのカンテラには12歳で入団。インファンティルB（U-13)に配属された。昨年12月に2027年まで契約を延長しており、今後もバルデベバス(マドリーの練習場）で手塩にかけて育てながら、その成長を見守る方針である。

　代表では、父親と同様に、アルビセレステの一員としてプレー。今年１月から２月にかけてコロンビアで開催されたU-20南米選手権にも参戦した。ブエノスアイレスの近郊、エセイサにあるアルゼンチン代表の本部で撮ったリオネル・メッシと一緒に収まる写真は大のお気に入りである。

文●ロレンソ・カロンヘ（エル・パイス紙レアル・マドリー番）
翻訳●下村正幸

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