左内転筋の怪我でネイマールが欠場したバルサの左サイドで、爆発的なスピードを活かした攻め上がりを繰り返して広州恒大に脅威を与えたのがジョルディだ。
 
「バルサ対策でメンバーを選んだ」という敵将スコラーリが、決して守備意識が高いとは言えないロビーニョを右翼のスタメンから外したのは、この左SBの攻撃参加を抑えるのが狙いだったのは想像に難くない。
 
　自陣に引いて守備を固める相手に苦しめられながらも、タッチライン際を駆け上がって左サイドを活性化させたジョルディは試合後、まずハットトリックを達成したスアレスを手放しで褒め称えた。
 
「彼は世界一のストライカーで、完成された９番だ。“スアレス、イコール、ゴール”と言ってもいい。スペインに来る前から素晴らしいプレーをしていたけど、バルサのスタイルにも完全にフィットしているね」
 
　そのスアレスと「MSN」を形成するメッシとネイマールの不在は、ジョルディに取っても影響が大きかったはずだ。
 
　右サイドで数人の敵を引きつけたメッシからサイドチェンジのパスをフリーで受けて、敵陣を攻略するというのはジョルディの得意の形で、またネイマールは抜群の連係を見せる“相棒”だからだ。
 
　にもかかわらず、「タイミングの良いオーバーラップ」というジョルディの最大の持ち味は消えなかった。
 
「メッシが出られないのは仕方ない。ほかの選手が彼の穴を埋めてくれるさ。できれば、決勝には出てもらいたいけどね」
 
　そのコメントには、「M」と「N」抜きでも３-０という結果を残したという自信が垣間見える。それでも、12月20日の決勝に話が及ぶと表情を引き締めた。
 
「リーベルは多くのサポーターに支えられた強豪だ。自分たちのサッカーに集中して、パスをつないでいつものように試合を支配したい。みんなモチベーションが高いので、問題はないよ」
 
「プレッシャーには慣れている」と語るジョルディ。ファイナルの舞台でも普段通り、左サイドを疾走する。
 
 
取材・文：江國 森（ワールドサッカーダイジェスト編集部）