「タカシ・イヌイ」と声を掛けてきた
4月のスペインは21時頃でもまだ明るい。ビルバオの街を歩いていると、驚いたことに、この時間帯でも小学生ぐらいの少年たちが広場でボールを蹴っている。
ようやく薄暗くなってきてから、散歩がてらアスレティック・ビルバオのホームスタジアム、サン・マメスに向かうと、目の前の空き地で男子6人のグループがボールを蹴っていた。高校生ぐらいだろうか。
自分の姿を見ると、そのうちの一人が「タカシ・イヌイ、タカシ・イヌイ」と声を掛けてきた。
「いまはタケ・クボ(久保建英)でしょ」と返し、「タケ・クボについてどう思う?」と尋ねてみた。おそらくビルバオのファンである彼らが、ライバルクラブのレアル・ソシエダに所属する日本人選手にいい印象を持っていないだろうというのは承知の上だ。
ようやく薄暗くなってきてから、散歩がてらアスレティック・ビルバオのホームスタジアム、サン・マメスに向かうと、目の前の空き地で男子6人のグループがボールを蹴っていた。高校生ぐらいだろうか。
自分の姿を見ると、そのうちの一人が「タカシ・イヌイ、タカシ・イヌイ」と声を掛けてきた。
「いまはタケ・クボ(久保建英)でしょ」と返し、「タケ・クボについてどう思う?」と尋ねてみた。おそらくビルバオのファンである彼らが、ライバルクラブのレアル・ソシエダに所属する日本人選手にいい印象を持っていないだろうというのは承知の上だ。
「いい選手だけど、嫌いだね」――。ひとりがそう言った。
「ダービーでゴールを決められたから?」と訊くと、「ラ・レアルでプレーしているからだよ。ダービー? 2-0で勝ったよ」との返答。「その前のダービーだよ。タケが決めたよね?」と突っ込むと、「そんなの知らないなぁ」となかったことになっていた……。
1月14日に開催されたラ・リーガ第17節のビルバオ戦で、久保は股抜きでDFをかわしてから得意の左足で名GKウナイ・シモンのニアをぶち抜くゴラッソを決めた。さらに、PKを奪取してそのファウルを犯した相手CBジェライ・アルバレスの一発レッドを誘発。3-1快勝の立役者となり、マン・オブ・ザ・マッチに輝く活躍を見せた。
しかし、先週行なわれた敵地でのバスク・ダービーでは、マッチアップした左SBのユーリ・ベルチチェの激しいマークに苦しみ、ソシエダも0-2で敗れ、宿敵にリベンジを許している。
「ビルバオで好き選手は?」と逆質問を受けたため、咄嗟にかつてプレーしていたミケル・サン・ホセの名前を挙げると、一同大興奮。サン・ホセのチャントが始まり、握手を求められた。
ちなみに、「タカシ・イヌイ」と連呼していた少年はエイバル出身とのこと。地元のクラブで活躍した乾貴士(現・清水エスパルス)のことを忘れていないようだ。
文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)
【動画】スペイン紙が「残忍」と賞賛!久保が1月のダービーで決めたゴラッソ