タケ・クボ（久保建英）は決して期待を裏切らない。いわゆる入場料を払う価値のある選手の１人だ。レアル・ソシエダでのファーストシーズンは、最終的にどういうか形で締めくくるにせよ、すでに傑出した成果を生み出している。

　繰り返しレポートしているように、タケの最大の長所は、不屈の精神だ。自分の限界を決めないし、見つけることもしない。何度転んでも立ち上がり、成功するまでトライし続ける。

　ヘタフェ戦でもそうだった。開始30分、ソシエダの攻撃陣が蜘蛛の巣を張り巡らせるような相手の堅守に手を焼く中、突破口を開いたのがタケだった。タケが躍動し、ダビド・シルバとパスを交換し始めると、試合の流れはソシエダに大きく傾いた。

　さらに60分には２点目をマーク。今シーズン６ゴール目となり、イヌイ・タカシ（乾貴士）が2017－18シーズンに記録した５得点を上回り、ラ・リーガにおける日本人のシーズン最多得点記録を更新した。

　チーム内でも、アレクサンダー・セルロト（９得点）、ブライス・メンデス（７得点）に次ぐ得点数を記録。マジョルカ（63試合で5得点）、ヘタフェ（18試合で1得点）、ビジャレアル（13試合で０得点）時代と比べても、明らかに成長の跡が伺える。
 

　ヘタフェ戦、タケは前節のビジャレアル戦に続き、２トップの一角としてプレー。パートナーはいつものセルロトではなく、ミケル・オジャルサバルだった。立ち上がりから、相手守備陣の激しいマークに遭ったが、35分にドリブルで切れ込みながら絶妙なパスを配給。ミケル・メリーノのシュートシーンを演出した。

　その直後には、アイヘン・ムニョスのクロスを頭で折り返すと勢い余って看板に突っ込んで転落。観客は肝を冷やした。戦士タケは、今や試合中に名前を連呼されるほどの人気者である。

　ファーストシュートはエンドが変わった53分。カットインから巻いてファーを狙ったシュートは枠を大きく外れたが、その８分後に前述の２点目が生まれた。シルバ、アイヘン、オジャルサバルへとワンタッチ、ツータッチで軽快に繋がれたボールをメリーノが中央に折り返すと、逆サイドから走り込んだタケが左足で合わせ、ゴールネットを揺らした。

　ソシエダのレジェンドの１人で、クラブ歴代最多試合出場の外国人選手でもある元ユーゴスラビア代表FWダルコ・コバチェビッチは、まだスペイン語を流暢に話せなかった頃、「ダルコが得点すれば、ソシエダは問題ない」という言葉を口癖にしていた。

　今シーズンのソシエダも、タケが得点した試合は、全て勝利している。次の対戦相手は、第１ラウンドでその犠牲となったアスレティック・ビルバオだ（ソシエダが３－１で勝利）。チャンピオンズリーグ出場権獲得に向けて負けられない試合が続くソシエダは、元気印の日本人に引っ張られて、バスクダービー“第２ラウンド”を迎える。

取材・文●ミケル・レカルデ（ノティシアス・デ・ギプスコア）
翻訳●下村正幸


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