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最低のマネジメントでバルサを弱体化させた元SDアビダル。出場1試合に終わった「幽霊選手」の獲得は“負の遺産”も…

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2023年04月04日

「数百億円を投じたが、大半はドブに捨てたようなもの」

アビダル(右)が招聘したキケ・セティエン(左)政権は失敗に終わった。(C)Getty Images

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 Jリーグの新シーズンは開幕しているが、古来か「勝負は戦う前に決まっている」と言われるように、どのように強化し、準備ができたか、で趨勢は決まる。

 ゼネラルマネージャー、スポーツダイレクター、テクニカルダイレクターなど呼び方は様々あるが、その仕事は思った以上に重要である。彼らがチームをデザインする。それは力を生み出し、そこにねじれがある限り、結果は出ない。
 
 最低のマネジメントをした場合、それは長引く負の遺産ともなる。 

 かつて黄金時代を作ったFCバルセロナだが、呆気なく弱体化している。2018年6月から2020年8月までの約2年間、バルサのスポーツディレクターを務めたエリック・アビダルは戦犯の一人だろう。

 アビダルは現役時代、その真摯で知的で強靭なプレーを見せた。キャリア晩年、がんと格闘しながら現役を続行。模範的で称賛に値する姿勢だった。
しかしディレクターとしては、率直に言ってセンスを欠いていた。

 アビダルは移籍金と高額サラリーで数百億円を投じたが、大半はドブに捨てたようなものだった。アルトゥール、マウコム、マルロン・サントス、ジュニオル・フィルポ、ジャン・クレア・トディボ、マーティン・ブライトワイトなどは負債をもたらした。中でもアントワーヌ・グリーズマンは2億2000ユーロで買い取り、2000万ユーロで売却する羽目になった。

 そして「幽霊選手」も生み出している。
 

 2020年1月、バルサは700万ユーロ(約8億7000万円)でパルメイラスからブラジル人MFマテウス・フェルナンデスを獲得した。背番号は19。契約は2025年6月までの大型契約だったが、入団会見も行わず、「幽霊」も同然だった。

 ブラジルにスカウトに出かけたアビダルが、たまたまパルメイラスのリザーブチームの練習を見て、M・フェルナンデスにほれ込んだという。しかし、まったくの力不足。アビダルは見る目がなかったSDだったが、聖人のように扱われていただけに、周りも意見しにくかったのだ。

 バルサはすぐにⅯ・フェルナンデスをバジャドリードへレンタルしたが、ケガも多く3試合出場にとどまり、突き返されてしまった。引き取り先が見つからず、「バルサの選手」の箔をつけるために1試合出場させている。だが、やはり声はかからず…。

 Ⅿ・フェルナンデスは、2021年7月に一方的に契約を解除された。

 アビダルがやることは何でも裏目に出た。2020年1月、エルネスト・バルベルデ監督を突如として解雇し、キケ・セティエンを迎えたが、この監督交代がバルサの転落を加速させている。騒動の中でのアビダルの発言(選手のやる気のなさを指摘)がリオネル・メッシの逆鱗に触れ、最後は追い出されるようにチームを去った。

 反面教師ではないが、学ぶことは多い失敗例だ。

 最近になって、Ⅿ・フェルナンデスは契約解除が不当だったと提訴。770万ユーロ(約10億9000万円)の支払いを勝ち取っている(その後、バルサは控訴)。今後も法廷で争う様子だ。

 それも、アビダルの負の遺産と言える。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。


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