湘南の遠藤航が、浦和へ完全移籍することが正式に発表された。『サッカーダイジェスト』誌が掴んでいた、獲得レースで“浦和優位”と言われていた情報をまとめてみた。
【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・1節 湘南×浦和など
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リオデジャネイロ五輪を目指すU-22代表の主将を務める守備のユーティリティでもある湘南の遠藤航がこのオフの主役となった。
遠藤が浦和からのオファーを受けたのは2年連続だ。しかも昨オフの段階で、遠藤は浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督と直接会って話をして、具体的な起用法についても説明を受けていた。
年俸などの条件は、浦和のほうが“桁違い”だったと言われる。しかし、遠藤は湘南のチョウ監督や多くの生え抜き選手と築いた湘南のスタイルをJ1で示したいとの想いが強く、15年は「湘南残留」を決断したのだ。
ただ、その時点で約1億円だった違約金(移籍金)が、今オフは約半分にまで引き下げられている(それが、湘南が遠藤を慰留させる際に提示した条件のひとつでもあった)。
そういった事情もあり、今回は多くのクラブが遠藤獲りに参戦したのだ。クラブとしても、この時点で、放出しなければ、移籍金を得られなくなるかもしれなかった。そういった背景も、少なからず(むしろ大きく)影響した。
遠藤にオファーを出したのは、浦和、鹿島、川崎、横浜、名古屋……。つまり、5000万円前後の移籍金を払える体力のあるクラブのほぼすべてが狙っていたわけだ(神戸は早い段階で断念している)。
国内移籍で、早い段階から本命視されたのが浦和だった。10月25日にペトロヴィッチ監督のクラブ歴代最長となる来季5年目の続投が発表された。この早い段階での決定は、補強面でライバルより先に動くためでもある。実際、すでに浦和から湘南に、遠藤への2年連続でのオファーが早い段階で届いた。
それに浦和には、遠藤が子どもの頃から憧れていたという阿部勇樹がいる。22歳の若さで湘南の中心選手となった遠藤だけに、阿部のような“トップ・オブ・トップ”と呼べる存在と一緒にプレーしたいと思うのは自然な感覚だろう。
さらに浦和行きを後押しする材料が、遠藤とペトロヴィッチ監督の代理人が同じであること。もちろん、それでも昨オフの移籍が実現しなかっただけに、なにより遠藤本人の意思が尊重されるのは間違いない。ただ浦和側にとって、遠藤とコンタクトを取りやすいのはメリットだった。