［キリンチャレンジカップ］日本 １－１ ウルグアイ／３月24日／国立競技場

　森保ジャパンの“第二章”。初陣の相手はウルグアイ。チケットは完売で、満員の国立はやっぱり良い雰囲気だった。WBCで侍ジャパンが優勝して、“次はサッカーだ！”という熱気も感じられた。サッカーも野球も、両方が盛り上がっていけばいいと思う。

　日本のメンバーは、カタール・ワールドカップからだいぶ様変わりしたよね。世代交代が進んだ印象だけど、でも次のワールドカップではまたガラッと変わっている可能性がある。サバイバルは始まったばかり。これからどんな競争が生まれるか楽しみだね。

　新たなスタートを切った日本は、ウルグアイに１－１で引き分け。ウルグアイは南米の強豪国だけど、親善試合になると、そこまでガチで戦わないイメージがある。

　でも、この日は違った。レアルで活躍するバルベルデを中心に、気持ちのこもったプレーを随所に披露。簡単に言うと、上手かったし、強い相手だった。

　個々の動きは機敏で、アグレッシブ。球際の勝負でも本気度が伝わってきた。フィジカルでもスピードでも、かなり手強かったし、だからこそ、日本にとっては良い相手だったとも言える。

　そんなウルグアイに対して、特に目を引くパフォーマンスを見せていたのが、ボランチの遠藤。持ち味のデュエルでまったく負けてないし、パス出しのテンポも良い。後半に入っても、プレーの強度が落ちない。こういう選手が中盤にいると、本当に助かるし、頼りになる。ゲームキャプテンを務めた背番号６の絶大な存在感を再確認できたね。

　遠藤は最終ラインに落ちて、後方からのビルドアップでも貢献していたけど、チームとしてはこれまで以上に“ボールを握る”ことに注力しているように見えた。
 

　ポゼッションの強化。それはそれでいいと思う。一方で、サッカーはやっぱりサイドアタックが重要だな、とも。実際、西村の同点ゴールも、右サイドを突破した伊東のクロスから生まれている。

　その伊東や左の三笘と、日本にはサイドで“違い”を生み出せるタレントがいる。ポゼッションもいいけど、この２人にもっとフォーカスした戦い方を突き詰めてもいいんじゃないかな。ウルグアイ戦でも伊東や三笘のプレーは際立っていたし、間違いなく彼らはチームのストロングになれるんだから。

　あと、これは両チームに言えることだけど、基本的な技術の高さにも改めて感心した。雨が降っていて、スリッピーなピッチでも、選手たちはしっかりとボールを止めて、蹴る。

　プロだから当たり前かもしれないけど、これはそんなに簡単じゃない。ましてや、トップレベルの代表戦。そのなかでイージーなミスがほとんどないんだから。細かいことだけど、１つのパス、１つのトラップ、何気ないプレーにも注目してほしいと思った。

【著者プロフィール】
岩本輝雄（いわもと・てるお）／1972年５月２日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ／平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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