ちょうど２年前に韓国サッカー界を揺るがしたストライカーが、ついに新天地を掴んだ。

　その人物とは、元韓国代表ＦＷのソク・ヒョンジュンだ。フランス２部リーグのトロワに在籍していた当時、29歳（現在は31歳）だったソクは、韓国の兵役庁から早急に帰国して兵役義務を果たすように再三の勧告を受けていた。にもかかわらず、長身ＣＦはことごとくを無視。フランスに滞在し続け、しかも兵役を逃れるため、同国への帰化申請の準備に入ったとも報じられる。瞬く間に韓国国内で大バッシングを浴びるに至ったのだ。

　韓国において成人男子は、基本的に28歳までに兵役を履行しなければならない。スポーツ選手の場合は五輪でのメダル獲得、アジア大会での金メダル奪取のどちらかを果たせば、免除される特別ルールがあるが、ソクはチャンスこそあったものの実現できなかった。

　昨年７月、ソクとトロワは１年残っていた契約を解除することで合意。無所属となったソクはようやく帰国し、昨年末にはSNS上で警察の取り調べを受けている事実を明かした。深く謝罪しながらも、「トロワはまるで協力してくれなかった。韓国からの勧告を無視したのは彼らで、私は韓国に戻って尚武（軍隊チーム）に入団する機会を逸してしまったのです」と身の潔白を主張したのだ。

　そして２月24日、ついにソクの新天地が決まった。『スポーツソウル日本語版』が「兵役逃れ疑惑で物議の元サッカー韓国代表、衝撃の現在地…４部相当のセミプロ入団が発表」と題して報じている。

　公式SNSでソクの入団を発表したのは「全州サッカー市民団」というクラブ。同メディアによれば、「2007年に創設され、現在はＫ４リーグに属するクラブだ。Ｋ４はプロ（Ｋ１とＫ２）に次ぐセミプロリーグで、Ｋ３の下部の実質４部リーグに相当する」という。

　尚武などの軍隊チームに所属しながら兵役義務を果たす選手が多いが、まずはＫリーグのクラブに籍を置いてから尚武に移籍する形を取らなければいけない。そのための第１段階として、ソクはなんとか４部のクラブを見つけたのである。
 

　ソク・ヒョンジュンは高校卒業後の18歳で欧州へ渡り、アヤックス（オランダ）やポルト（ポルトガル）にも籍を置いた。年代別の韓国代表にも常に名を連ねたエリートだったが、Ａ代表には2018年11月を最後に招集されていない。2021ー22シーズンのトロワでは怪我もあってリーグ戦わずか９試合の出場にとどまり、ゴールはゼロ。後半戦はベンチ入りも果たせない状況で、シーズン終了後に事実上の戦力外通告を受けた格好だ。

　韓国の世論は依然として厳しい目を向けているようだが、31歳とまだ若く、Ｋリーグでなら復活も果たせるだろう。はたして波乱万丈のキャリアで、もうひと花を咲かせられるか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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