勝たなければならない試合で随所に甘さを…。
千葉のシーズンが、いつもより少し早く終わった。
上位の長崎、東京Vが敗れ、2点差をつけて勝っていれば6位に浮上できたが、ホームで讃岐に完封負け。過去最悪の9位でシーズンを終えた。
最終節は、文字通り絶対に勝たなければならないゲームだった。だが千葉は、随所に脇の甘さを覗かせてしまう。
まず9分、讃岐のショートコーナーからのクロスをGK岡本がファンブル。呆気なく先制された。大事な試合の立ち上がり、こういうミスは士気を挫く。
80分に決められた木島の2点目は、決めた方を褒めるしかない美しいゴールだった。だが、この場面でもキム・ヒョヌンが縦パスからあっさりと裏を取られている。守り一辺倒の讃岐は縦パス一本しか攻め手がなく、こうした形は予測できたはずだった。しかもキムは身体を寄せることなく、シュートを撃たれている。
この試合、讃岐が10人でゴール前を固めたこともあり、千葉はフィールドプレーヤー全員が敵陣に入って攻め続ける時間が長かった。だが、こういうときこそDFは細心の注意を払わなければならない。
攻めているときほどピンチが生まれ、守っているときほどチャンスが生まれる。それがサッカーという競技だからだ。
守備だけではない。一方的に攻め立てながら無得点に終わった攻撃面にも、当然、課題は残る。
讃岐がもっとも危険な中央のコースを厳重に警戒したことで、千葉はサイドから攻める場面が多かった。前半から右SB大岩がクロスを上げる場面が何度も繰り返された。
だが、チャンスらしいチャンスにはならなかった。人数が多く、高さもある讃岐守備陣が待ち構えたところに、素直にクロスを上げるだけだったからだ。
大岩は積極果敢に敵を抜いていくようなタイプではない。だが、右サイドには自分のタイミングで1対1で仕掛けるだけの、時間とスペースが用意されていた。
仕掛けて仮に奪われても、サイドの、それも敵陣の深いところだから逆襲される可能性は低いのだ。足下に止め、同じタイミング、同じ角度、同じ球質のボールを入れる……。こういう単調なクロスを繰り返すなら、周りも使った変化のあるプレーを試みるべきだっただろう。
攻めているのにゴールにならず、肝心なところで失点する。
これは日本代表にも通じる課題ではないだろうか。変化をつけるという、サッカーのいちばん大事な部分が置き去りになってしまう。
試合後、佐藤勇人が次のように話していた。
「この試合に限らず、一年を通してやってきたサッカーの内容が、このゲームに表われている。自分たちは結果を出さなければ、応援してくれる方に恩返しできない立場。また来年、また来年と言えば済むような、簡単な話ではない。重く受け止めなければいけない」
来年でJ2暮らしは7年目になる。日本リーグ時代からの名門も、気がつけばJ2が定位置となってしまった。
これだけタレントが揃い、これだけ環境に恵まれながら勝てないとなると、もう体質としか言いようがない。体質を変えるのは容易ではない。この甘さを断ち切るには、組織を構成するひとが変わるしかないだろう。
同じフロント、同じ監督、同じ選手が「来年こそは」と言ったところで、同じ失敗を繰り返す可能性が高いのだ。
取材・文:熊崎敬
上位の長崎、東京Vが敗れ、2点差をつけて勝っていれば6位に浮上できたが、ホームで讃岐に完封負け。過去最悪の9位でシーズンを終えた。
最終節は、文字通り絶対に勝たなければならないゲームだった。だが千葉は、随所に脇の甘さを覗かせてしまう。
まず9分、讃岐のショートコーナーからのクロスをGK岡本がファンブル。呆気なく先制された。大事な試合の立ち上がり、こういうミスは士気を挫く。
80分に決められた木島の2点目は、決めた方を褒めるしかない美しいゴールだった。だが、この場面でもキム・ヒョヌンが縦パスからあっさりと裏を取られている。守り一辺倒の讃岐は縦パス一本しか攻め手がなく、こうした形は予測できたはずだった。しかもキムは身体を寄せることなく、シュートを撃たれている。
この試合、讃岐が10人でゴール前を固めたこともあり、千葉はフィールドプレーヤー全員が敵陣に入って攻め続ける時間が長かった。だが、こういうときこそDFは細心の注意を払わなければならない。
攻めているときほどピンチが生まれ、守っているときほどチャンスが生まれる。それがサッカーという競技だからだ。
守備だけではない。一方的に攻め立てながら無得点に終わった攻撃面にも、当然、課題は残る。
讃岐がもっとも危険な中央のコースを厳重に警戒したことで、千葉はサイドから攻める場面が多かった。前半から右SB大岩がクロスを上げる場面が何度も繰り返された。
だが、チャンスらしいチャンスにはならなかった。人数が多く、高さもある讃岐守備陣が待ち構えたところに、素直にクロスを上げるだけだったからだ。
大岩は積極果敢に敵を抜いていくようなタイプではない。だが、右サイドには自分のタイミングで1対1で仕掛けるだけの、時間とスペースが用意されていた。
仕掛けて仮に奪われても、サイドの、それも敵陣の深いところだから逆襲される可能性は低いのだ。足下に止め、同じタイミング、同じ角度、同じ球質のボールを入れる……。こういう単調なクロスを繰り返すなら、周りも使った変化のあるプレーを試みるべきだっただろう。
攻めているのにゴールにならず、肝心なところで失点する。
これは日本代表にも通じる課題ではないだろうか。変化をつけるという、サッカーのいちばん大事な部分が置き去りになってしまう。
試合後、佐藤勇人が次のように話していた。
「この試合に限らず、一年を通してやってきたサッカーの内容が、このゲームに表われている。自分たちは結果を出さなければ、応援してくれる方に恩返しできない立場。また来年、また来年と言えば済むような、簡単な話ではない。重く受け止めなければいけない」
来年でJ2暮らしは7年目になる。日本リーグ時代からの名門も、気がつけばJ2が定位置となってしまった。
これだけタレントが揃い、これだけ環境に恵まれながら勝てないとなると、もう体質としか言いようがない。体質を変えるのは容易ではない。この甘さを断ち切るには、組織を構成するひとが変わるしかないだろう。
同じフロント、同じ監督、同じ選手が「来年こそは」と言ったところで、同じ失敗を繰り返す可能性が高いのだ。
取材・文:熊崎敬
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