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昌子源のようなキャリアを歩み、内田篤人のようなプレーを披露するSB。米子北のキャプテンが、かなり面白い【選手権】

カテゴリ:高校・ユース・その他

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2022年12月30日

「まずは相手の状況を見ることを意識しています」

米子北の野田。主将を務める左SBは、クレバーなプレーが光った。写真:滝川敏之

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[高校選手権1回戦] 米子北2-1松本国際/12月29日(木)/等々力陸上競技場
 
 思わず目に留まったのは、プレーに“深み”があったからかもしれない。

 選手権1回戦で米子北は、松本国際を2-1と撃破。前半アディショナルタイムにMF上原颯太(2年)が強烈ミドルで先制点を決めると、後半31分に同点に追いつかれたものの、その2分後にMF中井唯斗(3年)がネットを揺らして勝ち越した。2ゴールはどちらも「おぉ!」と歓声があがる素晴らしい得点だったが、一方で主将の野田徹生(3年)が披露したプレーは「効いているなぁ」と声が漏れるほどだった。

 左SBで先発した野田は、左サイドハーフの中井がタメを作れば、颯爽と左サイドを駆け上がる。25分には果敢な攻め上がりから相手ゴールに迫り、ポストを叩く惜しいシーンもあった。オーバーラップについては、こだわりがあるという。

「まずは相手の状況を見ることを意識しています。そのなかで左サイドハーフの中井が得意な1対1をできるよう、その環境を作り出すためにオーバーラップをして相手を引き付けたり、もしくは後方からサポートするなど、状況ごとに判断してやっています」
 
 言葉から感じ取れる賢さは、ビルドアップにも如実に表現されていた。攻めに転じれば、クサビや縦パス、浮き球に柔らかいクロスなど、戦況に応じて多彩な球種を蹴り分ける。後半17分にはインサイド気味にポジションを取り、まるでボランチのようにパスを捌くシーンもあった。「相手が嫌がる、隙を突く縦パスや対応しづらい浮き球のパスも狙っていた」という。

 クレバーでビルドアップに優れるSBと言えば、左右は違えど内田篤人のようだった。一方でガンバ大阪ジュニアユース出身で米子北というキャリアの観点で見れば、昌子源(現鹿島アントラーズ)のような道を歩んでいる。野田は偉大な先輩に最大の敬意を表していた。

「同じディフェンスラインの選手として、CBで喝を入れる(昌子選手の)背中は見させてもらっています。ワールドカップ(18年のロシア大会)にも出場した凄い選手。チームをまとめるという点では、参考になるので意識して見ています」

 冷静沈着なプレーを見たうえに、頭脳的なコメントをコメントを聞いて、かなり面白いと感じた米子北のキャプテン。目立たなくても重要な黒子役を全うする選手には、嬉しい報いが待っていると信じている。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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