[高校選手権１回戦] 日体大柏３－１芦谷学園／12月29日（木）／県立柏の葉公園総合競技場

　日体大柏は芦屋学園と１回戦で対戦。３－０とした後、反撃に遭い１点を返されるも、危なげなく快勝を収め、初出場対決を制した。

　柏レイソルへの入団が決まっているFWオウイエ・ウイリアム（３年）はネットこそ揺らせなかったものの、随所で強靭なフィジカルを活かして存在感を発揮。絶妙なポストプレーで、先制点と３点目の起点となったほか、２点目も自身の豪快なボレーシュートを、ゴールラインぎりぎりでFW平野伶（３年）が押し込んだことで生まれた。

　190センチのレフティは試合後、無邪気な笑みを浮かべながら、こう語っている。

「正直、２点目は線を割ってて自分のゴールじゃないのかと思うんですけど（笑）。次の試合でしっかりとしたゴールを決めて、チームの勝利に貢献したいです」

　とりわけ際立ったのが、球離れの良さだ。味方が良い位置にいると見るや、ワンタッチ・ツータッチではたいていく。先制点の場面も強引にシュートまでは持ち込まず、タイミング良くパスを選択。その視野の広さと的確な判断が得点に繋がった。

　本人に「球離れ」について聞くと、「元々中盤をやっていたから視野が広い」という、意外な経歴と共に、こんな意識を教えてくれた。
 

「やっぱり常にチャンスになる場所に（パスを）出すというのは意識していて、自分が持ったほうがいい時と、すぐ離したほうがいい時はしっかり考えています」

　ではやはり、そうした周りを活かすタイプのFWを参考にしているのだろうか――。そう思いきや、「目標としている選手」として挙げた名は、いずれも個に特徴のある選手だった。

「前まで（クリスティアーノ・）ロナウドと言っていたんですけど、ワールドカップを見て（キリアン・）エムバペ選手に（変えました）。とても衝撃を受けましたし、１人であそこまでできれば、チームも勝たせられるし、自分もああなっていかないといけないなというのはあります」

　また、後半途中には珍しい場面があった。突然、ユニホームを半袖から長袖に変えたのだ。この一件について尋ねてみると、思わぬエピソードが飛び出した。

「ちょっと寒くて。インナーを忘れちゃったので（笑）。長袖しかなかったので長袖にしました」

　今後に向けては、「毎試合、点を取って、優勝に導く」と力を込めたオウイエ。「ヘディングの部分は誰にも負ける気がしません。ジャンプ力は誰にも負けない」と宣言までする“剛”と、しなやかにワンタッチではたく“柔”を兼ね備えた、大型ストライカーの得点量産に期待だ。

取材・文●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）

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