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【日本代表 26の肖像|山根視来】見続けてきたのは「夢」以上に「足もと」。自身を支える反骨心で“遅咲きの星”は輝きを放つ

カテゴリ:日本代表

波多野詩菜

2022年11月20日

座右の銘は「夢は心のプロテイン」

実直に努力を続け、カタール行きを叶えた山根。大舞台での活躍に期待が高まる。(C)Getty Images

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 いよいよ幕を開けるカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はDF山根視来(川崎フロンターレ)だ。

――◆――◆――

 長友佑都が明大時代にスタンドで太鼓をたたいていた話は有名だが、同じサイドバックの山根視来こそ、“遅咲きの星”かもしれない。

 年代別代表に入った経験はない。代表デビューは2021年3月だった。27歳でつかんだ初キャップから約1年半で立つワールドカップ。元アタッカーで「得点に絡めるプレー」を最大の特長に持つサイドバックは、11月6日の壮行会で誓った。

「舞台を心の底から楽しみたい。世界中の人が見る大会。今までのサッカー人生を全て出していく大会にしていきたい」

 座右の銘は「夢は心のプロテイン」。桐蔭横浜大時代、「座右の銘チェッカー」なるサイトで偶然出てきた言葉を「めっちゃいい」と採用してから今も使い続けている。そんな山根には、「夢」を持てない時もあった。
 
 東京Vジュニアユース時代。「自分のイメージの中では、色で言うと黒」。ベストメンバーを構成できる公式戦で起用されたことは、3年間で一度もなかった。3年夏に面談でユースに昇格できないことを告げられた時も、ショックすら感じなかった。

 茨城・ウィザス高(現第一学院)に入学した後も、すぐに実力を悟った。「ヴェルディで試合に出られなくても、日本の中ではレベルの高い部類って当時は勝手に勘違いしていたんですけど、そうじゃないと気がついた。僕は全然だめなほうだ、と」と振り返る。

 3年になる直前、練習中に東日本大震災が発生した。目で見えるくらい地面が揺れ、寮の運転手が「凄いことになっているから上がってこい」と走ってきた。寮は傾き、壁はひび割れ、荷物は散乱していた。当日はマイクロバスで、翌日からは体育館で寝泊まり。その後、神奈川県の実家に戻った。

 高校で一旦サッカーに区切りをつけることも考えていた。ただ、被災後に実家から近い桐蔭横浜大に練習参加すると「それなりに自分のフィジカルもレベルが上がってきている」と一定の手応えをつかめた。セレクションを受けて合格。そして4年時の15年9月、人生の転機が訪れる。天皇杯2回戦の相手は湘南だった。

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