• トップ
  • ニュース一覧
  • 「頑張って守り、蹴って走る」はドイツやスペインに通用するのか。森保監督が選んだのはCLを戦う古橋や旗手よりも、“自分のサッカーで貢献できる選手”【小宮良之の日本サッカー兵法書】

「頑張って守り、蹴って走る」はドイツやスペインに通用するのか。森保監督が選んだのはCLを戦う古橋や旗手よりも、“自分のサッカーで貢献できる選手”【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2022年11月08日

残念ながら胸が躍るようなものではない

クラブで結果を出していない選手が選出された一方で、セルティックで活躍する古橋(9番)は落選となった。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 カタール・ワールドカップのメンバー発表、改めて森保一監督の色が強く出た。突然、年齢順にメンバーを発表したのも、その一つか。一方で26人のメンバーに、サプライズはほとんどなかった。「大迫勇也の落選で会見中止」というニュースはあったが、メディアの話題作りだろう。選ばれる可能性のあった選手のために、会見を設定していたに過ぎない。

 古橋亨梧、旗手怜央の二人が外れ、浅野拓磨、前田大然が入ったのも、十分に予想されていた。とにかく監督の好みが強い。長友佑都、柴崎岳も「テッパン」で、原口元気を外したのは唯一、意外だったか。

 選出メンバーで戦い方は見えてきたが、残念ながら胸が躍るようなものではない。

「頑張って守り、蹴って走って頑張る」
 
 要約すると、それが森保ジャパンの戦略だろう。ブロックを作って守り、スピードのある選手でカウンターとも言える。前田、浅野のスピード一発狙いで、弱者の兵法だ。

 2012年ロンドン五輪でスペインを血祭りにあげ、2010年南アフリカW杯でカメルーン、オランダ、デンマークとのグループステージを勝ち上がった戦いに近いか。守備での献身性と攻撃のスピードを旋回軸に、他の選択肢はほとんど捨てる。ボールを蹴ってリスクを減らし、持たせて敵のリスクを上げ、効率に根ざした戦いだ。

 はたして、その戦略がドイツ、スペインの猛者たちに通じるのか。五輪世代では未成熟同士で出し抜けたし、アフリカのカメルーンが相手だったり、デンマークを相手に2本のセットプレーが決まるような僥倖があったら可能だろう。しかし所属クラブで経験を重ねた敵選手たちは、その経験を乗り越えている。
 
 指揮官が使い古された理屈に縋ることしかできないところに、不人気の本当の正体はある。欧州遠征メンバー30人が刷新される可能性は低かった。事実、怪我人の復帰による変更だけに近い。古橋亨梧や旗手怜央というチャンピオンズリーグを戦う選手の力を引き出すよりも、Jリーグに復帰してもたつく長友やスペイン2部で燻る柴崎岳やドイツで結果が出ない浅野の方が計算が立つということか。

 はっきりと言えば、森保監督が自分のサッカーで貢献できる選手を選んだに過ぎない。

「代表はいい選手から順に選ぶわけではない」

 それはひとつの定説だが、代表監督の言い訳でもある。相応の采配力があったら、いい選手からピックアップし、最良の組み合わせを考え、ピッチに送り出せる。そもそも代表はクラブと違い、戦術的成熟が難しい。希代の戦術家、アリゴ・サッキでさえ、イタリア代表で攻撃はロベルト・バッジョ、守備はフランコ・バレージに託したほどだ。
 
 森保監督が編み出した「戦術」で、列強を打ち破れるのだろうか。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

【画像】日本代表のホームが堂々1位!英紙が選出したカタールW杯出場国の「ユニホームランキングTOP10」

【PHOTO】ついに決定!カタール・ワールドカップに挑む日本代表26人を一挙紹介!
【関連記事】
「後味の悪さを残した」躍動した三笘薫にまさかの批判。英メディアが“レッド要求”に苦言「ダイブと同じぐらい受け入れられない」
「なんで呼んでいるのか」「まず驚き」城彰二が森保JのW杯メンバー26人に意見! 疑問に感じた選出とは?
「大迫はなんで入ってないんでしょうか」内田篤人の直球質問に森保監督の回答は?「議論に時間が…」
「攻撃しないんだろうね」城彰二が大迫勇也のW杯メンバー落選にモノ申す!「起点が作れない」
【セルジオ越後】大迫の落選はサプライズじゃない。原口が外れたのは、相馬との比較だったのではないか

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ