湘南戦はロドリゲス体制が抱える“ジレンマ”を象徴するような試合だった
0-1で敗れたC大阪戦から3日後。敵地での湘南戦で、浦和サポーターはある横断幕をゴール裏に掲げていた。
「優勝争いすらできない無様な結果。死ぬ気で掴もうとした男は誰? 来季は覚悟ある男と闘いたい」
しかし、サポーターの想いは届かず。むしろ相手の絶好機逸に助けられた湘南戦は、勝ち切れない今季のリーグ戦を象徴するかのようなスコアレスドローに終わった。
湘南戦後、岩波拓也は横断幕の内容について、「僕自身もリーグ戦はふがいない戦いが続いていると思っているし、クラブがJリーグ優勝という目標を掲げたからには、そこから決して目を背けてはならない」と話した。
選手たちはリーグ戦の結果に関して大きな責任を感じているが、横断幕のメッセージの矛先はピッチに立つ選手だけに向けられたものではないはずで、トップチームのコーチングスタッフをはじめ、編成や強化を司るフットボール本部を含めたクラブ全体へのそれだろう。
「優勝争いすらできない無様な結果。死ぬ気で掴もうとした男は誰? 来季は覚悟ある男と闘いたい」
しかし、サポーターの想いは届かず。むしろ相手の絶好機逸に助けられた湘南戦は、勝ち切れない今季のリーグ戦を象徴するかのようなスコアレスドローに終わった。
湘南戦後、岩波拓也は横断幕の内容について、「僕自身もリーグ戦はふがいない戦いが続いていると思っているし、クラブがJリーグ優勝という目標を掲げたからには、そこから決して目を背けてはならない」と話した。
選手たちはリーグ戦の結果に関して大きな責任を感じているが、横断幕のメッセージの矛先はピッチに立つ選手だけに向けられたものではないはずで、トップチームのコーチングスタッフをはじめ、編成や強化を司るフットボール本部を含めたクラブ全体へのそれだろう。
20年に策定した3年計画の集大成となった今季、クラブはリーグ優勝をひとつの目標に掲げた。しかし、横断幕のメッセージが示すように、リーグ戦の優勝争いに参戦すら叶わず。ピッチ上の現象を精査すれば、スコアレスドローに終わった湘南戦は、2年目を迎えたリカルド・ロドリゲス体制が抱える“ジレンマ”を象徴するような試合だった。
湘南戦はキャスパー・ユンカー、ダヴィド・モーベルグ、アレックス・シャルクが初めて先発メンバーで揃い踏みとなった。ただ外国籍選手が前線の大多数を占めたため、チームの生命線でもある前線からのプレス強度とトランジションのスピード感に対しては、ある程度、目を瞑らなければならない陣容だったことは否めない。
ところが湘南戦は守備からリズムを作れず。高い位置からプレッシャーをかけることに目を瞑ったため、守備から攻撃へと切り替えた場面では、アタッキングエリアまでの距離が遠くなったうえに、湘南のスピーディなトランジションの餌食となった。そして結局、64分にはモーベルグとシャルクの両翼が退き、外国籍選手の“火力”で点を取る算段は頓挫している。
湘南戦で浮き彫りとなったのは、圧倒的な個の優位性を持つ選手のチームへの組み込みを、ロドリゲス監督が必ずしも良しとしない点だろう。湘南戦のように、個の優位性を持つ選手が数多くピッチに立つと、チームとしての機能性は途端に低下している。
一方で湘南戦はボールを保持して相手を崩すアプローチに関しても、“属人性”が強いことを露呈。前半は岩尾憲や小泉佳穂といったキーマンが不在だったため、ビルドアップからの前進が“ノッキング”を起こし、ボールを動かしながら敵陣へ進入することもままならなかった。「人が大きく代われば、我々が目ざしているサッカーを同じようにやっていくのは簡単ではない」とはロドリゲス監督の弁である。
チームとしての機能性発揮を尊重したメンバーを送り込めば、絶好機を決め切れない個の質的優位性の壁にぶつかる。一方で個の質を優先すれば、チームとしての機能性が低下しがちだ。そのため、ロドリゲス体制は対戦相手や日程の妙もあり、カップ戦ではタイトル獲得を望めるが、安定したチーム力が最も必要とされるリーグ戦では、結果が芳しくないのも合点がいく。
湘南戦はキャスパー・ユンカー、ダヴィド・モーベルグ、アレックス・シャルクが初めて先発メンバーで揃い踏みとなった。ただ外国籍選手が前線の大多数を占めたため、チームの生命線でもある前線からのプレス強度とトランジションのスピード感に対しては、ある程度、目を瞑らなければならない陣容だったことは否めない。
ところが湘南戦は守備からリズムを作れず。高い位置からプレッシャーをかけることに目を瞑ったため、守備から攻撃へと切り替えた場面では、アタッキングエリアまでの距離が遠くなったうえに、湘南のスピーディなトランジションの餌食となった。そして結局、64分にはモーベルグとシャルクの両翼が退き、外国籍選手の“火力”で点を取る算段は頓挫している。
湘南戦で浮き彫りとなったのは、圧倒的な個の優位性を持つ選手のチームへの組み込みを、ロドリゲス監督が必ずしも良しとしない点だろう。湘南戦のように、個の優位性を持つ選手が数多くピッチに立つと、チームとしての機能性は途端に低下している。
一方で湘南戦はボールを保持して相手を崩すアプローチに関しても、“属人性”が強いことを露呈。前半は岩尾憲や小泉佳穂といったキーマンが不在だったため、ビルドアップからの前進が“ノッキング”を起こし、ボールを動かしながら敵陣へ進入することもままならなかった。「人が大きく代われば、我々が目ざしているサッカーを同じようにやっていくのは簡単ではない」とはロドリゲス監督の弁である。
チームとしての機能性発揮を尊重したメンバーを送り込めば、絶好機を決め切れない個の質的優位性の壁にぶつかる。一方で個の質を優先すれば、チームとしての機能性が低下しがちだ。そのため、ロドリゲス体制は対戦相手や日程の妙もあり、カップ戦ではタイトル獲得を望めるが、安定したチーム力が最も必要とされるリーグ戦では、結果が芳しくないのも合点がいく。