[J１第27節]柏３－６FC東京／８月27日／三協フロンテア柏スタジアム

　Ｊ１リーグ27節のFC東京戦、防戦一方の前半に２失点した柏レイソルをガラリと変えたのは、後半開始から途中出場したドウグラスと武藤雄樹の２トップだった。

　ドウグラスが高さを生かしたポストプレーで起点を作れば、武藤は裏への抜け出しで相手の守備陣を攪乱。補完性が高いふたりは抜群のコンビネーションでゲームの流れを一気に優勢に傾けた。

　62分には武藤が左サイドに走って敵の視線を散らし、正確なクロスを供給すると、ゴール前でドウグラスがヘディングで合わせてネットを揺らす。もちろんシュートも素晴らしかったが、直前の場面で武藤と同じランニングをしかけたドウグラスは動きを変えた。気遣いから生まれた得点と見てもいいだろう。

　興味深かったのは49分のシーン。敵陣右サイドの大南拓磨から横パスが入ると、後ろに武藤の存在を確認したドウグラスはスルー。ボールを受けた武藤が打ったシュートは相手DFに阻まれたものの、２トップの良い距離感を象徴していた。大南は「ふたりは常につながっていた」と振り返る。

「武藤選手もドウグラス選手もしっかり周りを見てプレーしてくれる。僕がパスを出して、ドウグラス選手がスルーして武藤選手みたいな、ふたりの連係が生まれた。ふたりは距離感が良いので、テンポ良くゴール前のエリアでパスを動かせると感じました」

　ドウグラス、武藤ともに個人技を発揮しつつ、コンビネーションも疎かにしないから凄い。この２トップが超強力だったのは「ふたりが常につながっていた」（大南）からだろう。守備の崩壊で６失点と大敗したが、３ゴールを奪った後半の攻撃には希望が見えた。
 

　本誌「サッカーダイジェスト」の最新号では柏レイソルのクラブダイジェスト特集を掲載している。インタビューに応えてくれた武藤の話で特に印象に残ったのが、ゴール量産のきっかけとなった17節の神戸戦で今季初得点を決められた要因。ふたつある内のひとつを紹介したい。

「今年２月に右膝半月板損傷で負傷離脱し、スタンドから試合を見る期間が長いなか、細谷（真大）や（マテウス・）サヴィオがゴールに向かってチャレンジし続ける姿勢に感化されて。必死に何度も相手の裏を突き続けるし、どんなボールにも食らい続けて得点を狙い続けるし。すごく刺激を受けましたね。僕がピッチに戻ったら、彼らくらいゴールに向かってプレーしないといけないなと思ったのが、神戸戦の初得点につながったかと」

　左膝半月板損傷＆左膝軟骨損傷で負傷離脱していたドウグラスも、おそらく武藤と同じような想いを抱えていたのではないだろうか。悔しさから這い上がった選手は強く、FC東京戦で約５か月ぶりの復帰ながらもゴールを奪取。頼もしいストライカーが三協フロンテア柏スタジアムに帰ってきた。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）

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