【新潟】危機的状況から抜け出すには「甘さ」を捨てるべき

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2015年09月27日

「厳しさ」を取り戻せなければ、降格の二文字は現実味を帯びてくる。

先制したにもかかわらず、ミスの連鎖で痛恨の逆転負け……。15位に転落し、もはや楽観視できる状況ではない。ミスの温床となっている「甘さ」を捨て去り、これまで以上に危機感を持ってピッチに立ち、残留を手繰り寄せたい。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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「“甘さ”がある選手が何人かいると、今日のような厳しいゲームで勝点を失う。私の目には、前線の守備がすごく緩く映った。そのせいで中盤や最終ラインの守備を難しくさせてしまっていた」(柳下監督)

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 決して語気を荒げるようなことはしない。「自分たちのやろうとしていることは、ある程度できている」との前置きもあったが、試合後の会見場で放たれた指揮官の言葉は、辛辣なものだった。
 
 無理もない。6分にロングフィードを受けた山本が個人技から先制点を奪い、格上相手にゲームをコントロールできる権利を得たのに、ミスの連鎖で逆転負けを喫したのだ。叱責の言葉は続く。
 
「1失点目はビックリした。ミスは仕方ない。しかし、一番危険なエリアにいる選手をマークしていないのは、私は信じられない。(得点を決めた川崎の)小林君もビックリしたんじゃないかな」(柳下監督)
 
 確かに63分に喫した同点弾は、お粗末と言われても反論しようのないものだった。パスカットしたボールをコントロールし切れずに自陣でロスト。それを大島から中村とつながれ、ノープレッシャーで前を向かれてスルーパスを出されたうえに、小林の巧みな動き出しを捕まえ切れなかった。
 
 自陣でロストしたひとつ目のミス、そして決定機を作り出せる中村に寄せ切れなかったふたつ目のミス、さらに「自分が一番後ろにいると分かっている時にはラインコントロールしてオフサイドにかけてもいいが、基本的にラインディフェンスを使うことはない。(マンツーマン気味に)付いて行かなければいけない場面」(守田)という3つ目のミス。
 
「ひとつのミスで失点することはあまりない。ふたつ、3つとミスが続くと失点する。(仕方のないひとつのミスを)ふたつ目、3つ目のところでカバーしてあげなきゃ」と柳下監督も諭すように言う。
 
 ミスが重なったことが、失点の大きな要因であることに間違いない。しかしそれ以前に気になったのが、せっかく相手のパスワークを寸断してボールを奪い、「守→攻」に切り替わった時にはピンと張り詰めていた集中力が、ロストした瞬間にプツリと途切れてしまったように見えたことだ。
 
「攻→守」へのスイッチの切り替えは、明らかに上手くいっていなかった。その結果、中村への寄せがルーズになり、小林に自由を与えてしまったのではないだろうか。
 
 柳下監督が言うように、「ミスは仕方ない」。ただ、起きてしまったミスへの対応には違和感を覚えたし、個々の“甘さ”を感じずにはいられなかった。
 
 この失点場面だけでなく、試合を通して新潟は切り替え時に集中力が散漫となるシーンが少なくなかった。それが引き金となり、ミスを重ねて、自滅した。選手たちも一様に反省の弁を口にする。
 
「自分たちのミスで相手にチャンスを作られることが多かった。辛抱強く戦えていたと思うが、そこから攻撃につなげるところでミスをしてしまって、ボールを相手に渡してしまった」(前野)
 
「ビルドアップしようとした時にミスで終わってカウンターに持ち込まれた」(守田)
 
「僕とラファ(R・シルバ)が3バックについて行かなきゃならなくて、ふたりの距離が自然と遠くなってしまった。そのことで、中盤で奪った後の攻撃にミスが増えてしまった」(指宿)
 
 これだけ“ミス”というワードが選手から頻繁に出てくるようでは、勝利を掴むのはやはり難しい。
 
 残り5試合でも同じことを繰り返せば、降格の二文字は現実味を帯びてくる。今回の川崎戦での敗戦で、16位の松本と勝点5差の15位に転落してしまった。もはや危機的状況にあると言っていい。
 
「どんなチームでも、すべての選手に役割がある。そこで厳しさの足りない選手がいると、勝点は拾えなくなる」(柳下監督)
 
 次節の相手は、残留争いのライバルでもある甲府だ。これまで以上に危機感を持ち、一つひとつのプレーで“甘さ”を捨て去り、厳しく戦うことができるか。切り替えの際に集中力を一瞬でも欠けば、それが命取りになる。ここが分水嶺だ。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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