「居心地の良い環境を作り出したい」
過去15年、世界サッカー最高の監督はジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)で間違いない。
FCバルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、そしてシティで数多くの栄光に浴しただけではなく、スペイン、ドイツ、イングランドとそれぞれの国のリーグ全体のサッカースタイルにまで影響を及ぼしてきた。その指導を受けた選手だけではない。対戦した選手や多くの指導者に共感を与え、一つのムーブメントにした。
それはグアルディオラが単なる「戦術家」では収まらないからだろう。頭でっかちの指導者ではない。
「サッカーは知識や経験に基づいてはいるものだが、立て続けに決断を下す中で、直感が導いてくれるものだ」
FCバルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、そしてシティで数多くの栄光に浴しただけではなく、スペイン、ドイツ、イングランドとそれぞれの国のリーグ全体のサッカースタイルにまで影響を及ぼしてきた。その指導を受けた選手だけではない。対戦した選手や多くの指導者に共感を与え、一つのムーブメントにした。
それはグアルディオラが単なる「戦術家」では収まらないからだろう。頭でっかちの指導者ではない。
「サッカーは知識や経験に基づいてはいるものだが、立て続けに決断を下す中で、直感が導いてくれるものだ」
ヘスス・スアレスとの共著「レジェンドへの挑戦状」で、グアルディオラは哲学的にサッカーを語っている。仕組みは必要だが、直感の入る余地が、サッカーを無限に広げるのだ。
「監督は選手の良さを引き出し、みんなで何かを成し遂げるのが仕事と言えるだろう。私も、そこに喜びを見いだす。選手たちやスタッフがどんどん良くなっていくような、居心地の良い環境を作り出したい。もちろん、切り盛りのところで間違いが生じることはあるんだが、そのとき、監督が言い訳を言い募るのは厳禁だね。『もしお金があったら』とか、『もしあそこでゴールをしていればな』とか。たら・れば、に意味はない。たしかなアイデアを持って、それを信じて仕事をし続ける。そうすれば、直感が働くようになって、自分を行くべき場所へ導いてくれるんだ」
それは指導者としての答えに辿り着くアプローチなのだろう。その原点には、一つのキーワードがある。
「選手ありき」
グアルディオラはしばしば説いている。選手がいなければ、彼の指導は成り立たない。選手の力を引き出してこそ、サッカーは生まれる。そこに出発点があるからこそ、革命的なサッカースタイルとなるのだろう。すべての結果が伴っていなかったとしても。
「監督が結果の上に立っている、というのは間違いない。自分たちは、勝ったときには良くて、負けたときには悪者になる。でも、まずは監督がやっているサッカーの本質を見て欲しい」
グアルディオラは懇願するが、彼は結果を求めず、プレーを求めるのだろう。それは実は単純に結果を求めるよりも難しい作業だが、そこに指導者としての矜持が見える。
彼は現役時代から「誰よりも監督のようだった」と言われる。現役晩年から指導者として学ぶための行動を開始。バルサのトップ監督を断り、バルサBからスタートした。常に自らが信じるサッカーと指導に向き合ってきたが、その行動の一つひとつが覚悟として選手にも伝わる。
サッカー人として挑戦し続ける向上心が彼の行動原理で、それが彼を世界最高の指導者にしているのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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「監督は選手の良さを引き出し、みんなで何かを成し遂げるのが仕事と言えるだろう。私も、そこに喜びを見いだす。選手たちやスタッフがどんどん良くなっていくような、居心地の良い環境を作り出したい。もちろん、切り盛りのところで間違いが生じることはあるんだが、そのとき、監督が言い訳を言い募るのは厳禁だね。『もしお金があったら』とか、『もしあそこでゴールをしていればな』とか。たら・れば、に意味はない。たしかなアイデアを持って、それを信じて仕事をし続ける。そうすれば、直感が働くようになって、自分を行くべき場所へ導いてくれるんだ」
それは指導者としての答えに辿り着くアプローチなのだろう。その原点には、一つのキーワードがある。
「選手ありき」
グアルディオラはしばしば説いている。選手がいなければ、彼の指導は成り立たない。選手の力を引き出してこそ、サッカーは生まれる。そこに出発点があるからこそ、革命的なサッカースタイルとなるのだろう。すべての結果が伴っていなかったとしても。
「監督が結果の上に立っている、というのは間違いない。自分たちは、勝ったときには良くて、負けたときには悪者になる。でも、まずは監督がやっているサッカーの本質を見て欲しい」
グアルディオラは懇願するが、彼は結果を求めず、プレーを求めるのだろう。それは実は単純に結果を求めるよりも難しい作業だが、そこに指導者としての矜持が見える。
彼は現役時代から「誰よりも監督のようだった」と言われる。現役晩年から指導者として学ぶための行動を開始。バルサのトップ監督を断り、バルサBからスタートした。常に自らが信じるサッカーと指導に向き合ってきたが、その行動の一つひとつが覚悟として選手にも伝わる。
サッカー人として挑戦し続ける向上心が彼の行動原理で、それが彼を世界最高の指導者にしているのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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