上田は点を取るためのポジショニング&シュートのセンスを兼備しているのに
FWかよ!
吉田麻也の同点ゴールは、そう突っ込みたくなるほど素晴らしい得点だった。54分、インターセプトから持ち上がり、左サイドに展開した吉田は、そのままゴール前にスルスルと上がる。原口元気のミドルシュートを相手GKが弾いたこぼれ球に素早く反応し、ダイレクトで詰めてネットを揺らした。
確かに吉田は見事だった。しかし本来、このゴールを見せるべきだったのは、得点シーンで22番の横にいた上田綺世ではないだろうか。
この試合で上田は序盤、何度も得点を狙う動き出しを見せていた。裏への抜け出しを試みたり、相手DFのマークを外すように膨らんで走ったり、身体の向きはゴールに向いている。とりわけ、三笘薫がボールを持った瞬間は呼吸が合うのか、オフ・ザ・ボールの動きにキレが増した印象もあった。
しかし苦しいゲーム展開になると、サイドに流れるようになり、ポストプレーに回り……、チームを助けるには決して悪くないプレーだが、個だけを考えれば徐々にゴールから遠ざかっていたのも事実だろう。実際、同点弾のシーンでの上田の立ち位置は、吉田よりも遠かった。
吉田麻也の同点ゴールは、そう突っ込みたくなるほど素晴らしい得点だった。54分、インターセプトから持ち上がり、左サイドに展開した吉田は、そのままゴール前にスルスルと上がる。原口元気のミドルシュートを相手GKが弾いたこぼれ球に素早く反応し、ダイレクトで詰めてネットを揺らした。
確かに吉田は見事だった。しかし本来、このゴールを見せるべきだったのは、得点シーンで22番の横にいた上田綺世ではないだろうか。
この試合で上田は序盤、何度も得点を狙う動き出しを見せていた。裏への抜け出しを試みたり、相手DFのマークを外すように膨らんで走ったり、身体の向きはゴールに向いている。とりわけ、三笘薫がボールを持った瞬間は呼吸が合うのか、オフ・ザ・ボールの動きにキレが増した印象もあった。
しかし苦しいゲーム展開になると、サイドに流れるようになり、ポストプレーに回り……、チームを助けるには決して悪くないプレーだが、個だけを考えれば徐々にゴールから遠ざかっていたのも事実だろう。実際、同点弾のシーンでの上田の立ち位置は、吉田よりも遠かった。
Jリーグでの活躍ぶりを見れば、おそらく上田は点を取るためのポジショニング&シュートのセンスを兼備している。それなのになぜ、吉田よりも先にゴール前で足が出なかったのか。ヒントのひとつになり得るのは、以前に金田喜稔氏との対談で釜本邦茂氏が語っていた言葉である。
「点を取る仕事しかやらなかったから」
日本代表歴代最多得点者は、ゴール量産の要因を堂々と述べていた。説いたのは性格で、協調性が大事にされる日本でエゴイストを貫いたのだから、「不世出のストライカー」と呼ばれる所以が少しだけ分かった気がした。
得点だけに専念すれば、動きも思考も変わる。必要以上に動き過ぎずゴールに最も近い位置に立ち続けるし、前半から相手GKが日本のシュートをほとんど弾いていたのだから、「こぼれ球がくる」という狙いも生まれるはずだ。それこそが俗に言う“ストライカーの嗅覚”だろう。
サッカーはゴールにボールを入れるスポーツという当たり前に立ち返れば、得点センスに長けるストライカーの存在価値は相当に高い。日本屈指のポストプレーヤーとして呼び声高い大迫勇也がいる現状、ポジション争いのライバルと似た働きは、果たして上田に必要なのか。むしろ、誰に何を言われようとゴールだけに専念したほうが、よっぽど面白いと思う。チームスポーツなので懐が深い監督と、得点以外のタスクを代行してくれるチームメイトが必要だが、そうしてでも期待していいFWだと個人的には思っている。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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「点を取る仕事しかやらなかったから」
日本代表歴代最多得点者は、ゴール量産の要因を堂々と述べていた。説いたのは性格で、協調性が大事にされる日本でエゴイストを貫いたのだから、「不世出のストライカー」と呼ばれる所以が少しだけ分かった気がした。
得点だけに専念すれば、動きも思考も変わる。必要以上に動き過ぎずゴールに最も近い位置に立ち続けるし、前半から相手GKが日本のシュートをほとんど弾いていたのだから、「こぼれ球がくる」という狙いも生まれるはずだ。それこそが俗に言う“ストライカーの嗅覚”だろう。
サッカーはゴールにボールを入れるスポーツという当たり前に立ち返れば、得点センスに長けるストライカーの存在価値は相当に高い。日本屈指のポストプレーヤーとして呼び声高い大迫勇也がいる現状、ポジション争いのライバルと似た働きは、果たして上田に必要なのか。むしろ、誰に何を言われようとゴールだけに専念したほうが、よっぽど面白いと思う。チームスポーツなので懐が深い監督と、得点以外のタスクを代行してくれるチームメイトが必要だが、そうしてでも期待していいFWだと個人的には思っている。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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