昨季までチャナティップが背負っていた札幌の18番を、今季は元名古屋MFガブリエル・シャビエルがまとう。

　主軸が抜けた穴を「埋めるだけでなく、プラスにする」。札幌の三上大勝代表取締役GMはそう考えたという。クラブの公式YouTubeチャンネル『CONSADOLE TV』で、G・シャビエル獲得の舞台裏を明かした。

　チャナティップの川崎移籍が決まった時、すでに名古屋を契約満了となっていたG・シャビエルという選択肢が浮かんだ。「本人が新しいトライをしたいから、名古屋が嫌いとかではなく、ブラジルもしくは他のJクラブでやろうと思っているということは、サッカー界の噂としてオフシーズンに聞いていた」。

　獲得に動き出したのは、去年のクリスマスが過ぎた頃の年末。年が明けてすぐに本人と初めて連絡が取れた。そこでクラブのビジョンやチームのスタイルなどを伝えた。

「すごい早く彼、決断してくれたんだけど、残念ながら僕らの条件が良かったわけではなかった」

　ではG・シャビエルが新天地に札幌を選んだ理由とは何だったのか。

「サポーターの方を含めた、みんなが作ってくれているコンサドーレの雰囲気を、シャビエル、もしくはシャビエルの奥さんが、名古屋でやっていたときに札幌の雰囲気ってすごくいいよねっていうようなのを持ってくれていたおかげで、すごく短い期間の中で、契約交渉がまとまった」

　三上GMの手腕を称える声がサポーターから届くこともあるようだが、「正直、みなさんのおかげなんです」と感謝を伝える。
 

　さらには、G・シャビエル獲得には「ギャンブル的要素があった」と語る。

「コロナの関係で、ビザがないと（日本に）入れない。このビザが、１月18日までがシャビエルが持っていたやつで、要するに１月の17日までに入国してくれないと、新規外国人扱いでいつ次入国できるか分からない。１月の15日にブラジルを飛んで、17日に日本に着いて、そこで無事にビザがさらにできるっていうところがないと、獲った意味が半減してしまうという状況だった」

　出入国ではPCR検査がある。「無症状でも陽性反応が出てしまって、隔離になるとそのビザが切れてしまう」。予定どおり17日には日本に到着した。「問題はここでの検査結果。あとは神のみぞ知る、というなかで無事に入国できた」と安堵の表情で振り返る三上GMは、しみじみと次のように話す。

「こういうことも含めて、縁とかね、すごいことなんだと思うし、サポーターがいたからこそ、この契約がまとまり、そういった問題もクリアしたからこそ、今チームにいるっていうことは、きっとみんなにとって必要な選手なんだし、選手にとってもコンサドーレが必要な場所だったんじゃないかなと僕は理解している」

　清水エスパルスの敵地で迎えた今季開幕戦。札幌の“新18番”はシャドーの一角で先発出場。新たなスタートを切った28歳のレフティのさらなる活躍に注目だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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