2月12日に行なわれたクラブワールドカップで優勝を果たし、プレミアリーグで上位につける前回王者のチェルシーが、本拠地スタンフォード・ブリッジでリーグ・アン中位に低迷する相手に敗れるシナリオは考えにくい。
油断や慢心が生まれかねないが、パリ・サンジェルマン時代にリールと何度となく対戦したトーマス・トゥヘル監督&37歳のベテランDFチアゴ・シウバがしっかり手綱を締めるだろう。とくに後者は心身ともに充実の様子で、攻撃のスイッチを入れるフィードも本分の守備も冴えている。
懸念はなかなか上向かないロメル・ルカクの状態。インテル時代の2トップとは違い、ナローな3トップのCFでスペースが制限され、より基準点としての役割を求められ、前を向いて仕掛ける機会が減少している現状に本人も窮屈さを感じているようだ。
トゥヘル監督がどんな解決策を用意できるのか、注目だ。
37歳とは思えないハイパフォーマンスを見せる
リールの視点に立てば、国内リーグで得点王争いを繰り広げる売り出し中のCFジョナサン・デイビッドが、T・シウバが統率するチェルシーの最終ラインを崩せなければ勝機は広がらない。
このカナダ代表FWとともに攻撃で期待されるのが、シーズン後半戦から10番を背負うレナト・サンチェスと、半年の空白期間を経て1月に新加入した34歳のアテム・ベン・アルファだ。
前者は中盤センターと右サイドで獅子奮迅の活躍を見せており、後者は途中出場から自慢の高速ドリブルで攻撃のアクセントとなっている。
ただ、今冬では崩しの切り札だったジョナタン・イコネをフィオレンティーナへ、不動の左SBだったレイニウドをアトレティコ・マドリーへと売却し、戦力ダウンしている点は大いに気がかりだ。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2021年2月17日号より一部修正・加筆して転載。
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