シーズンの幕開けを告げる富士フイルムスーパーカップで、昨季の天皇杯覇者レッズが、J１王者のフロンターレに２－０で勝利を収めた。

　立ち上がりから勢いがあったレッズが、７分に先制点をゲット。酒井からのパスを江坂がダイレクトでねじ込む。江坂は後半にも勝負を決定づける追加点。１点目は右足で、２点目は左足と、両方とも正確なシュートでネットを揺らしてみせる。チャンスを確実に仕留める決定力が、タイトルを手繰り寄せたと言ってもいい。

　敗れたフロンターレは、全体的に今ひとつの出来だった。新戦力のチャナティップは左ウイングで先発したけど、あまりフィットしていなかった。後半はインサイドハーフに入って、躍動感が多少なりとも出てきた。でもまだ本来の実力を出し切れていたとは言えず。脇坂も懸命にボールを前に運ぼうとしていたけど、レッズのタイトな守備の前に、思うように攻撃を加速させられなかった。

　左ウイングで途中出場のマルシーニョは、持ち前の突破力で左サイドから攻撃の糸口を見つけようとしていたけど、その前に立ちはだかったのが酒井だ。１対１ではほぼ負けていなかったし、格の違いを見せつけた。

　この試合で、最も目を引いたのがその酒井だった。球際の迫力はもちろん、熟練のパスワークで揺さぶりをかけてくるフロンターレに対しても、素早くスライドして穴を空けない。守備範囲が広いし、縦につけるパスのスピードも、ひとりだけ違う。先制点もアシストしているし、攻守の両局面で抜群の存在感を見せていた。
 

　レッズでは、柴戸も良かった。最後まで運動量は落ちないし、中盤の攻防では、ボールを奪うにしても、パスを散らすにしても、精力的にプレーしていた。その柴戸とボランチでコンビを組んだ岩尾も、期待通りのパフォーマンスを披露。とにかく、ポジショニングが素晴らしいよね。気の利いた位置取りで、テンポ良くボールを出し入れする。相変わらずクレバーな選手だなと思った。

　今日の試合ではやや守備的だったけど、今後は自分たちがボールを保持する時間が長い試合もあるはず。より攻撃的な展開のなかで、敵陣に入って岩尾がどう攻撃を構築していくか。そういうゲームでこそ、彼の本領が発揮されるんじゃないかな。

「３か年計画」の３年目で、J１制覇を狙うレッズが王者フロンターレを破ってみせる。レッズはこれで良い状態でリーグ戦を迎えられるはず。フロンターレは、どちらかと言うとスロースターターなチーム。今日は負けたけど、シーズン開幕後の戦いに期待したい。

　ちなみに、このタイトルマッチの前に行なわれた川崎U-18対高校選抜のNEXT GENERATION MATCHも現地で観戦。試合は１－０で川崎U－18が競り勝った。CBの浅岡飛夢とボランチの大関友翔は、ポテンシャルがありそうだね。フロンターレはアカデミーも充実しているし、将来が楽しみな若いタレントを見れたのも、この日の収穫だった。

【画像】2022 J１リーグ各チームの開幕予想布陣！