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「伊東純也が戦術」は不安でしかない。サウジ撃破で称賛を浴びた森保ジャパン。ただ、批判されていた戦い方と違いがあったのか?【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:日本代表

小宮良之

2022年02月10日

大会前に辛辣な批判を浴びていた方が結果を残している

サウジ戦で1ゴール・1アシストと躍動した伊東。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 カタール・ワールドカップのアジア最終予選、猛烈な批判を受けていた森保ジャパンだが、サウジアラビア戦で2-0と勝利を収めたことで、“逆風”はやんだ気配がある。実際、正念場でサウジを下したことは称賛に値するだろう。守りは堅固になったし、カウンターは形になっている。

「批判をいただいたことで、火をつけてくれたと思います」

 試合後、長友佑都は語っている。批判の矢面に立っていたが、大一番で逆境の強さを見せた。
 
 改めて、日本代表は批判に耐性があるというか、反発力が特徴と言える。南アフリカW杯にせよ、ロシアW杯にせよ、大会前に辛辣な批判を浴びていた方が結果を残している。外圧を受け、チームとして一丸になることができるのかもしれない。

 しかし率直に言って、批判されていた戦いと見直したとされる戦いに大きな差はない。そもそも批判を受けていた戦いで目立ったのは、コンディション不足と士気の低さだった。海外組を招集し、ほとんどプレーを合わせる時間もなく、いきなりの試合で“おっとり刀”になっていた。腰が引けた戦いが、批判の理由だった。

 それが負けられない正念場で、しかもホーム連戦で、気持ちの面も体力コンディションも良好に挑むことができた。それが、試合でアドバンテージになった。中国やサウジに戦力的に劣っているわけではなく、互角に戦えば勝てる相手だったとも言える。
 
【関連動画】他国メディアが驚愕した、伊東純也のぶち抜きドリブル&衝撃ゴール
 その割に内容には不満が残った。立ち上がり10分過ぎまで、相手にペースを握られていた。高いインテンシティで押し込まれ、相手に負傷選手が出るまで流れを五分に戻せなかった。そこからは能動的に守りを固め、カウンターを狙う構図ができ、実際に先制に成功した。

 後半立ち上がりも強度を懸け、追加点を奪取。完勝の流れだったが、その後はラインを下げ、再び後手に回っていた。無失点は、サウジの拙攻によるところが大きい。

 繰り返すが、守備の陣形は強固になった。中央はトリプルボランチで守りを厚くし、サイドもアタッカーが帰陣して陣形を作っていた。お互いの距離感も改善され、新鋭センターバック二人が入っても一つの仕組みを運用する確かさもあった。加えてカウンターも鋭く、見事に勝機をつかんだ。

 しかし、ペースを与えた時間は危険だった。実力のある敵、もしくは日本のコンディションが悪く、あるいはメンタル面が低下していたら、失点を喫していただろう。つまり、今までとプレーそのものは大きく変わっていない。

 ボール支配率で負けても、それは大きな問題ではないだろう。しかし自分たちでイニシアチブをとって守れない点は改善の余地がある。また、守りが固くなったのは悪いことではないが、カウンター色が強すぎる。高い位置でボールを握って攻め、崩す形もないと、先制された場合、一転して苦しくなるだろう。

「伊東純也が戦術!」

 スポーツ紙の見出しとしては派手さがあるが、それしか手の内がないようだとワールドカップ本大会に向けては不安でしかない。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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