いよいよ、決着をつける時がきた。

　今季がJ２初参戦のSC相模原。最終節を前に、順位は勝点38で降格圏の19位。ただし、最後の東京ヴェルディ戦に勝てば、自力で残留を決められる。同41で16位のザスパクサツ群馬と、同39で18位の大宮アルディージャが最終節で直接対決。得失点差も踏まえ、この両チームのどちらかを上回ることができるからだ。

　是が非でも勝点３を――もっとも、高木琢也監督は別段気が張っているわけではない。自然体で、いつも通りに臨む心構えでいる。

「やってやるぞとか、そういうのは全然ないですよ。勝負事はなんでも勝たないといけない。それが当たり前だし、どの試合もそういう気持ちでやっているので」

　残留がかかる試合でも、「特別な位置づけにあるかというと、そんなことはない」。チームの命運が決する一戦を軽んじているわけではない。「どの試合も大事」だった。「42試合あって、その中の１試合。それがたまたま最後ということ」。それ以上でも以下でもない。

　もとより、指揮官は以前から「最後で決まる」と言ってきた。どのタイミングでそう考えるようになったかは明言しないが、「これはもう最後まで行くんだろうな、と。そこで腹をくくったというか、そう思った」。

　自らの“予言”通りの展開となった。他会場の結果など、いくつかの条件が揃えば、最終節で負けても残留できるが、あくまでも「どうやって勝つか」に専心する。

「簡単に言うと、プレーオフみたいなもの。そういう意味では、順位が下であることを考えれば、勝たないといけない。引き分けではだめ」

　一戦必勝。「考え方としては、セオリー通りにいくのか、そうじゃないようなこともやっていかなければいけないのか」。緻密な戦略家の腕の見せどころだ。
 

　基本的に高木監督は、シーズン中は休まない。チームがオフの日も次の試合に向けた準備にいそしむが、「（前節の）松本戦の後は、いつもより疲れを感じた」という。

　そこで、松本戦のあとは、珍しくオフらしいオフを過ごすことにした。

「ボーっとしていたわけではないけど、映画を観たり、犬と遊んだり。普段はしないようなことをしていましたね」

　休息の時間は限られたものだったかもしれないが、頭の中はクリアになり、すぐにスイッチを“オン”にして、休み中には戦闘モードに入った。

　東京V戦に向けて、トレーニングでは“勝つため”の手法、手段を提示し、チームに落とし込む。変わらぬルーティーンを経て、敵地に乗り込む相模原は、今季ラストマッチでどんな戦いを見せてくれるのか楽しみだ。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェストWeb編集部）

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