ベストではなくてもベターだった
カタール・ワールドカップ・アジア最終予選、負けられないオーストラリア戦で、森保一監督は4‐3‐3のシステムを採用。結果は、2‐1と、どうにか勝利を収めている。
4‐3‐3は、大きく分けて二つタイプがある。
一つは、FCバルセロナ、マンチェスター・シティが信奉してきた形だろう。GKからセンターバックまでボールを持て、中盤中央は3人でスキルが高い選手を配し、何よりもポゼッションにおいて有利に立つ。サイドバック、トップもそこに連携しながら、能動的にボールを回す。スペースを作って相手を惑わし、サイドでアドバンテージを取って、崩しに入る。守られてもセカンドボールを拾い、ひたすら攻撃を繰り返す。ボールありきで、非常に攻撃的なシステムだ。
もう一つは、ディディエ・デシャン監督が率いるフランス代表のタイプだろう。フィジカル強度の高い選手を主軸に、受け身に回った時に強さを発揮し、中央は守備面で数的不利になりにくい。アンカーと言われるバックラインの前の選手がいることで、危険なコースを遮断。センターバックとトライアングルを作り、敵を侵入させない。堅牢な守備からカウンターに特長がある。
前線には、スピードがあり、エネルギッシュで、得点力のあるアタッカーを配置。ポゼッション率に関しては、プライオリティが低い。守備と攻撃が分業のように機能し、とことん効率性を追求した戦い方だ。
森保ジャパンの4‐3‐3は、どちらかと言えば後者だろう。
【W杯アジア最終予選PHOTO日本 2-1オーストラリア|浅野が誘発したOGで勝ち越し!宿敵オーストラリアから勝点3もぎ取る!
4‐3‐3は、大きく分けて二つタイプがある。
一つは、FCバルセロナ、マンチェスター・シティが信奉してきた形だろう。GKからセンターバックまでボールを持て、中盤中央は3人でスキルが高い選手を配し、何よりもポゼッションにおいて有利に立つ。サイドバック、トップもそこに連携しながら、能動的にボールを回す。スペースを作って相手を惑わし、サイドでアドバンテージを取って、崩しに入る。守られてもセカンドボールを拾い、ひたすら攻撃を繰り返す。ボールありきで、非常に攻撃的なシステムだ。
もう一つは、ディディエ・デシャン監督が率いるフランス代表のタイプだろう。フィジカル強度の高い選手を主軸に、受け身に回った時に強さを発揮し、中央は守備面で数的不利になりにくい。アンカーと言われるバックラインの前の選手がいることで、危険なコースを遮断。センターバックとトライアングルを作り、敵を侵入させない。堅牢な守備からカウンターに特長がある。
前線には、スピードがあり、エネルギッシュで、得点力のあるアタッカーを配置。ポゼッション率に関しては、プライオリティが低い。守備と攻撃が分業のように機能し、とことん効率性を追求した戦い方だ。
森保ジャパンの4‐3‐3は、どちらかと言えば後者だろう。
【W杯アジア最終予選PHOTO日本 2-1オーストラリア|浅野が誘発したOGで勝ち越し!宿敵オーストラリアから勝点3もぎ取る!
オーストラリア戦、攻撃はほとんどの場合、しつこい守備を出発点にしたカウンターだった。田中碧の先制点は好例だろう。ボールを高い位置まで丁寧に運び、そこからスモールスペースを切り崩し、手数を懸けて分厚い攻撃をする、というシーンはほとんど見られなかった。
先発の伊東純也、交代で入って決勝点を決めた浅野拓磨は、システム運用にうってつけの人材だった。一発のパスに抜け出る、あるいは粘り強くプレッシングをかける。森保4‐3‐3の申し子だった。南野拓実もカウンターから田中の得点をアシストしたように、必ずしも特性を生かした起用ではなかったが、「前へ」チームを引っ張る役目を攻守でこなしていた。
森保監督はまさに攻守の効率を重んじ、システムを選び、適した選手を当てはめたと言える。それはベストではなくても、ベターだった。2トップにする戦い方も、3バックにする布陣も選択肢だったはずだが、一つの正解を叩き出した。
はたして、11月シリーズも森保監督は最適解を導き出せるか。
システムは起用する選手によって、まったく違う色合いを見せるはずだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
【PHOTO】埼玉スタジアムに駆けつけ、選手を後押しする日本代表サポーター!
先発の伊東純也、交代で入って決勝点を決めた浅野拓磨は、システム運用にうってつけの人材だった。一発のパスに抜け出る、あるいは粘り強くプレッシングをかける。森保4‐3‐3の申し子だった。南野拓実もカウンターから田中の得点をアシストしたように、必ずしも特性を生かした起用ではなかったが、「前へ」チームを引っ張る役目を攻守でこなしていた。
森保監督はまさに攻守の効率を重んじ、システムを選び、適した選手を当てはめたと言える。それはベストではなくても、ベターだった。2トップにする戦い方も、3バックにする布陣も選択肢だったはずだが、一つの正解を叩き出した。
はたして、11月シリーズも森保監督は最適解を導き出せるか。
システムは起用する選手によって、まったく違う色合いを見せるはずだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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