3月、6月は暫定監督でも十分、シーズン終了を待てば可能性は広がるが…。
なかなか万能な監督は存在しない。どんな優秀な人材でも、クラブとの相性が合わずに結果を得られないケースはある。例えば、日本協会がしばらくラブコールを送り続けたアーセン・ベンゲルも、シーズン早々にモナコの監督を解任されたから、名古屋で突出した辣腕ぶりを発揮できた。
シーズン終了の契約切れを待てば、思わぬ掘り出し物と出会える可能性が広がる。日本代表は3月に2つの親善試合があり、6月にはワールドカップ1次予選が始まるが、この数試合なら暫定監督でも十分に戦える。
しかし一方でもう少し現実的な判断をするなら、日本代表に興味を持つ監督にアプローチする手もある。残念ながらコロンビア代表のホセ・ペケルマン監督は契約を延長したが、ブラジル・ワールドカップで対戦した後の会見では、まるで売り込むかのように日本代表を絶賛していた。自分が手がければ日本は伸びる。そう考える監督は、意外と少なくない。
さらに可能性を広げるなら、巷間伝わるルイス・フェリペ・スコラーリや、Jリーグで実績を残したオズワルド・オリヴェイラ、さらにはレヴィー・クルピなどが挙げられる。この中で実績では最上位に来るのがスコラーリだ。ブラジルのビッグクラブで立て続けに実績を残し、同国代表を率いて2002年ワールドカップを制覇。その後はポルトガル代表を率いて、ユーロ準優勝、ワールドカップでベスト4と、南米、欧州の両大陸で結果を出した。
オリヴェイラには代表監督の経験がないが、鹿島での実績のみならず、2000年にはコリンチャンスを率いてクラブ世界一を経験している。両者ともに安定した期待値は望めるだろう。
だが日本の現状を考えると、良い意味で最も大きなサプライズの可能性を秘めるのが、C大阪で次々に若い選手を引き上げ、攻撃的なスタイルでJリーグを盛り上げたレヴィー・クルピかもしれない。
今回のアジアカップでは、新陳代謝を進めたオーストラリアが優勝し、ユース年代から実績を積み上げて来た若いUAEが日本を下した。対照的に日本は、岡田監督時代から主力の顔ぶれが固まる一方で、すべてのカテゴリーの代表がベスト4進出を逃し、若手の押し上げが弱い。このままでは3年後のワールドカップでの好成績どころか、出場が危ぶまれる事態も考えられる。
だからこそ今、日本代表に最も必要なのは、新しい才能を見極める眼と、それを大胆に抜擢する度量なのだと思う。最初にC大阪の監督に就任した時、香川真司はボランチの控えでベンチ入りも難しかったのだ。継続と実験のバランスを取りながら、閉塞気味の代表を再び活性化させるには、最適任ではないかと思う。
文:加部 究(スポーツライター)
シーズン終了の契約切れを待てば、思わぬ掘り出し物と出会える可能性が広がる。日本代表は3月に2つの親善試合があり、6月にはワールドカップ1次予選が始まるが、この数試合なら暫定監督でも十分に戦える。
しかし一方でもう少し現実的な判断をするなら、日本代表に興味を持つ監督にアプローチする手もある。残念ながらコロンビア代表のホセ・ペケルマン監督は契約を延長したが、ブラジル・ワールドカップで対戦した後の会見では、まるで売り込むかのように日本代表を絶賛していた。自分が手がければ日本は伸びる。そう考える監督は、意外と少なくない。
さらに可能性を広げるなら、巷間伝わるルイス・フェリペ・スコラーリや、Jリーグで実績を残したオズワルド・オリヴェイラ、さらにはレヴィー・クルピなどが挙げられる。この中で実績では最上位に来るのがスコラーリだ。ブラジルのビッグクラブで立て続けに実績を残し、同国代表を率いて2002年ワールドカップを制覇。その後はポルトガル代表を率いて、ユーロ準優勝、ワールドカップでベスト4と、南米、欧州の両大陸で結果を出した。
オリヴェイラには代表監督の経験がないが、鹿島での実績のみならず、2000年にはコリンチャンスを率いてクラブ世界一を経験している。両者ともに安定した期待値は望めるだろう。
だが日本の現状を考えると、良い意味で最も大きなサプライズの可能性を秘めるのが、C大阪で次々に若い選手を引き上げ、攻撃的なスタイルでJリーグを盛り上げたレヴィー・クルピかもしれない。
今回のアジアカップでは、新陳代謝を進めたオーストラリアが優勝し、ユース年代から実績を積み上げて来た若いUAEが日本を下した。対照的に日本は、岡田監督時代から主力の顔ぶれが固まる一方で、すべてのカテゴリーの代表がベスト4進出を逃し、若手の押し上げが弱い。このままでは3年後のワールドカップでの好成績どころか、出場が危ぶまれる事態も考えられる。
だからこそ今、日本代表に最も必要なのは、新しい才能を見極める眼と、それを大胆に抜擢する度量なのだと思う。最初にC大阪の監督に就任した時、香川真司はボランチの控えでベンチ入りも難しかったのだ。継続と実験のバランスを取りながら、閉塞気味の代表を再び活性化させるには、最適任ではないかと思う。
文:加部 究(スポーツライター)