日本は才能を無駄にしていないか!? 町田・酒井良コーチが見たセルビアの育成事情【後編】

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2018年02月01日

VNではトップとアカデミーのスタイルは同じではない。

ヴォイヴォディナ・ノヴィサドのクラブハウスの前で。到着した日の撮影で、やや緊張気味の様子。

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――日本ではアカデミーはトップチームと同じプレースタイルで、という認識がありますが、そのあたりはどうですか。
 
 アカデミーから輩出された選手が、トップに馴染みやすいという理由からですね。これも一理あると思いますが、セルビアはそうではありませんでした。トップはトップ、アカデミーはアカデミーで違うのです。
 
 トップはとにかく結果にこだわらなければいけない。ですからVNも現実的な試合運びをせざるを得ず、時にはラフプレーに走ります。現実に生きざるを得ないトップチームと違って、アカデミーは理想を追求します。それはどこからもウチに来てほしいと思われるような、質の高い選手を育てなくてはいけないからです。
 
 よく日本ではトップの監督が変わるとともに、アカデミーの指導方針が変わったりしますが、セルビアではそういうことはありません。トップチームは結果を厳しく求められるので、監督は頻繁に変わります。ぼくは10か月間VNにいましたが、トップチームの監督は5人も代わりました。5人ですよ。勝てないと、すぐクビ。ものすごく厳しいです。そんなトップの事情に合わせて、アカデミーの方向性を変えるわけにはいきません。
 
 トップは勝負に徹し、アカデミーは選手の質に徹する。そのこだわりは、むしろ日本も学ぶべきところかもしれません。
 
――昨年8月、町田ユースの選手ふたりがVNに3週間留学したそうですが、なにか変化はありましたか。
 
 強烈な刺激を受けたようですね。VNは財政的に厳しいので、実は寮の食事がパン一枚の時も少なくない。そんな時どうするのかと思って見ていたら、近所のレストランに行って食べていたようです。
 
――不便なことを自分の頭で解決するというのは、サッカー選手にとって欠かせない能力ですね。
 
 そう思います。昨年12月、VNのユースが来日してJクラブのユースとたくさん試合をしましたが、日本の関係者は驚いていましたよ。なにしろ靴下は穴だらけ、ユニフォームもぼろぼろで、ホーム用とアウェー用で背番号が違う。そんなないものだらけの環境で、彼らはサッカーをしています。
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