知られざるR・マドリーの強化戦略とは?
ヨーロッパで、日本とは比べものにならないほど存在が大きいのが代理人です。(C・ロナウドの代理人である)ジョルジュ・メンデスは当初、元マドリーのアンチェロッティが監督に就任したナポリにクリスチアーノを売り込もうとしました。
ただ、「そんな大金をすぐには用意できない」という返答だったので、新たな交渉相手を探していたところ、(メンデスの顧客である)ジョアン・カンセロの契約交渉の席でクリスチアーノの話を出したら、ユベントスが食いついたという経緯だったようです。
実は、ポルトにあるメンデスの事務所をアポなしで個人的に訪ねたことがあるんです。「無給でいいからあなたの下で働かせてほしい」と頼み込むと、「代理人になりたいのなら、有望な日本人選手を連れて来い。そうすれば、部下ではなく、パートナーとして一緒に仕事ができる」と言われました。
別れ際、これからベンフィカのクラブオフィスに行くつもりだと言うと、彼もちょうど行く用事があるからと、なんと車に同乗させてくれたんです。車中では興味深い話をいろいろと聞くことができて、本当にラッキーでした。
マドリーは近年、マルコ・アセンシオ、ダニ・セバジョス、そして今夏のアルバロ・オドリオソラとスペイン人の若手の獲得に力を入れています。世界中にファンを抱えるマドリーも、スペインのチームであるというアイデンティティーを非常に重視しているんです。
ただ、「そんな大金をすぐには用意できない」という返答だったので、新たな交渉相手を探していたところ、(メンデスの顧客である)ジョアン・カンセロの契約交渉の席でクリスチアーノの話を出したら、ユベントスが食いついたという経緯だったようです。
実は、ポルトにあるメンデスの事務所をアポなしで個人的に訪ねたことがあるんです。「無給でいいからあなたの下で働かせてほしい」と頼み込むと、「代理人になりたいのなら、有望な日本人選手を連れて来い。そうすれば、部下ではなく、パートナーとして一緒に仕事ができる」と言われました。
別れ際、これからベンフィカのクラブオフィスに行くつもりだと言うと、彼もちょうど行く用事があるからと、なんと車に同乗させてくれたんです。車中では興味深い話をいろいろと聞くことができて、本当にラッキーでした。
マドリーは近年、マルコ・アセンシオ、ダニ・セバジョス、そして今夏のアルバロ・オドリオソラとスペイン人の若手の獲得に力を入れています。世界中にファンを抱えるマドリーも、スペインのチームであるというアイデンティティーを非常に重視しているんです。
大物の獲得ばかりが注目されがちですが、実はスペイン人で骨格を固めて、空いているところをビッグネームで埋めるという発想。ペレス会長が「銀河系軍団」を作った時も、当時のチーム状況を考えてやむを得ずそうしただけで、元々スペイン人主体のチームを作るという構想を持っていました。昨今の補強は、そのコンセプトに基づいているわけです。
一方、バルセロナは、カンテラの若手が他のクラブへ次々に流失していますね。トップへ上がっても、なかなか試合に出られないのが一因でしょう。若手の台頭がなくなったバルサは、リオネル・メッシを含めて高齢化が進み、過渡期を迎えていると思います。
クリスチアーノを失ったマドリーとともに、今シーズンのチャンピオンズ・リーグはスペイン勢が苦労するかもしれないですね。
●取材・構成:江國森(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
(『ワールドサッカーダイジェスト9月6日号』より抜粋)
[酒井浩之氏のプロフィール]
広告代理店やスポーツブランドでの勤務を経て、2015年3月にレアル・マドリーのスポーツマネジメントMBAコースに日本人として初めて合格。卒業後、同クラブの職員に採用され、マーケティングを担当する。17年7月に退団し、現在は日本を拠点にスポーツビジネスを展開中。1979年愛知県生まれの神奈川県育ち。