1980年代は１部と２部を行ったり来たりしていた西ロンドンの雄、チェルシー。ひとつの転機となったのは1992―93シーズンのプレミアリーグ発足で、大型資本の参入などによってチーム強化が促進されると、徐々に欧州の名手たちがスカッドに名を連ねるようになった。
 
　なかでもチェルシーは、当時隆盛を極めていたイタリア・セリエＡからのタレント流入が顕著なクラブだった。ルート・フリット、ジャンルカ・ヴィアッリ、ジャン・フランコ・ゾーラ、ロベルト・ディ・マッテオなど名も実績もある大物が続々と本拠地スタンフォード・ブリッジに舞い降りたのだ。その後2003年にロシア人実業家のロマン・アブラモビッチがクラブを買収し、瞬く間にメガクラブへの道を突き進んでいくわけだが、現在に至るその礎を築いたのは、1990年代後半にブルーズを支えたビッグネームたちだった。

 

　チェルシーが今シーズン終了後の５月18日に開催するのが、彼らをトリビュートする記念試合だ。「チェルシー・レジェンズvsインテル・フォーエバー」と銘打たれた一戦は、文字通りのドリームマッチ。まさに1990年代後半のチェルシーを彩った名手たちが一堂に会し、所縁の深かったイタリア・サッカー界からはインテルのＯＢたちが参戦。そのＰＲ動画を公式ツイッターが掲載したところ、ファンから大きな反響を呼んでいるのだ。
 
　クラブのアイコンだったデニス・ワイズを筆頭に、ゾーラやヴィアッリ、グスタボ・ポジェ、トーレ・アンドレ・フロー、グレエム・ル・ソーらの名場面が次から次へと登場し、エンディングの最新ムービーが垂涎もの。チェルシーの練習場で立ちすくむワイズ、ル・ソー、フローの前に現われるのは、ハビエル・サネッティ、ユーリ・ジョルカエフ、フランチェスコ・トルドの３人！ それぞれが熱い抱擁を交わし、２か月先の決戦に向けてトレーニングに励むといったオチだ。彼ら６人の近影が見られるだけでも、かなりのお得感がある。
 
　なんとも贅沢な構成で、動画を観たファンからは「これちょっと豪華すぎない？」「昔のチェルシーは個性的な選手ばかりだったな」「絶対に行くよ！」と称賛の声が相次いだ。その一方で、現チームとアントニオ・コンテ監督に不満を募らせているファンからは、「コンテのチームよりよっぽど面白そう」「早く辞めろ！」「この試合までには別の監督に代わっていてほしい」など、かなり脱線したメッセージも目に付いた。
 
　いずれにせよ、チェルシー・ファンにとっては堪らない一日となりそうだ。