「負ければプレーオフ」という逼迫した状況で…。
[2002年日韓ワールドカップ欧州予選・最終節]イングランド 2-2 ギリシャ/2001年10月6日/オールド・トラフォード
2002年の日韓ワールドカップ出場を懸けた欧州予選は、クライマックスを迎えていた。最終節を前にイングランドはドイツと勝点で並び、得失点差では大きくリード。勝てばすんなり出場権を獲得できる状況にあった。
ところが、すでに敗退が決まっているギリシャに終盤まで1点のリードを許す苦しい展開。同時刻にスコットランドと戦っていたドイツが、一足先にスコアレスドローで試合を終えていたのは朗報だったが、イングランドは1ポイントを積み上げる必要があった。
後半ロスタイムも2分を過ぎた時、ゴールまで約30メートルの位置でイングランドにFKが与えられる。蹴るのはもちろん、デイビッド・ベッカムだ。
文字通りのラストチャンス。いつも通りゆったりとしたステップから右足を振り抜くと、美しい軌道を描いたボールがゴール左隅に突き刺さった。劇的な同点弾にイングランドのサポーターで埋め尽くされたオールド・トラフォードは、興奮の坩堝と化した――。
負ければ厳しいプレーオフに回らなければならない、その逼迫した局面で、得意のFKを決めてみせたベッカム。1998年のフランス・ワールドカップでディエゴ・シメオネに対する愚行に及んで退場となり、敗退の「戦犯」として非難を浴びた26歳のキャプテンが、イングランド国民の「英雄」になったのだった。
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
2002年の日韓ワールドカップ出場を懸けた欧州予選は、クライマックスを迎えていた。最終節を前にイングランドはドイツと勝点で並び、得失点差では大きくリード。勝てばすんなり出場権を獲得できる状況にあった。
ところが、すでに敗退が決まっているギリシャに終盤まで1点のリードを許す苦しい展開。同時刻にスコットランドと戦っていたドイツが、一足先にスコアレスドローで試合を終えていたのは朗報だったが、イングランドは1ポイントを積み上げる必要があった。
後半ロスタイムも2分を過ぎた時、ゴールまで約30メートルの位置でイングランドにFKが与えられる。蹴るのはもちろん、デイビッド・ベッカムだ。
文字通りのラストチャンス。いつも通りゆったりとしたステップから右足を振り抜くと、美しい軌道を描いたボールがゴール左隅に突き刺さった。劇的な同点弾にイングランドのサポーターで埋め尽くされたオールド・トラフォードは、興奮の坩堝と化した――。
負ければ厳しいプレーオフに回らなければならない、その逼迫した局面で、得意のFKを決めてみせたベッカム。1998年のフランス・ワールドカップでディエゴ・シメオネに対する愚行に及んで退場となり、敗退の「戦犯」として非難を浴びた26歳のキャプテンが、イングランド国民の「英雄」になったのだった。
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部