ゴールに「近づいている感」は確実に掴んでいる。
[J1リーグ16節]横浜2-0神戸/6月25日/日産スタジアム
88分のシュートは、やや強引だったかもしれない。
後方からのロングボールに抜け出した齋藤学が、GKと1対1に。最初のトラップで上手くコントロールできず、一度はGKにかき出されたが、自らルーズボールを拾う。すぐ横には富樫敬真がフリーでいた。しかし齋藤はパスを出す素振りは見せず、角度のないところから右足を思い切り振り抜いた。
ボールは枠を捉え切れないどころか、逆サイドのタッチラインを割る。極めてゴールの可能性が低いシュートだったが、齋藤の“今季初得点”に対する貪欲な姿勢が垣間見えるワンプレーだった。
「2-0だったし、もうラストだったので。敬真が呼んでだけど、全然出す気はなかった」
試合後、富樫にはパスを出さなかったことを謝ったという。もっとも、あの場面では自分の結果にこだわった。
リーグ戦のみならず、すべての公式戦で今季ここまでノーゴールが続く。そんな状況に、齋藤は「もう呪いかな」と自嘲気味に話す。
18分には、渡部博文を鮮やかに股抜きして決定機を作り出し、渾身の一撃を放つも、これは北本久仁衛の身体を張ったブロックに阻まれる。「決め切る力は大事」と反省を口にする一方で、ゴールに「近づいている感」は確実に掴んでいる。
痛めていた踵も「やっと痛くなくなってきた」。持ち前のドリブルで相手を置き去りにするシーンも増えてきた。チームの勝利を最優先に考えるスタンスに変わりはないが、「やっぱり代表に入りたいので。結果を出していかないと」と言葉に力を込める。
誰よりも相手のマークが厳しく、それを逆手にとって囮になる役目も厭わない。献身的な守備でも魅せるが、ゴールから見放される現状に、本人に思うところがあってもおかしくはない。
とはいえ、一時期の不調に比べ、コンディションは間違いなく上がってきているし、開幕当初に見せていた躍動感を取り戻しつつある。
「本当に、ここまで点が取れないのは、なんか憑いているのかなって思いますけど。でも、すごく良い経験だし、この辛い状況をしっかりと噛み締めていきたい」
待望のエースの一発が生まれれば、目下4連勝中のチームはさらに勢いづくはず。その瞬間まで、齋藤は決して諦めずに前を向いて戦う覚悟だ。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【横浜 2-0 神戸 PHOTO】神戸に2-0の完勝でトリコロールが4連勝!
88分のシュートは、やや強引だったかもしれない。
後方からのロングボールに抜け出した齋藤学が、GKと1対1に。最初のトラップで上手くコントロールできず、一度はGKにかき出されたが、自らルーズボールを拾う。すぐ横には富樫敬真がフリーでいた。しかし齋藤はパスを出す素振りは見せず、角度のないところから右足を思い切り振り抜いた。
ボールは枠を捉え切れないどころか、逆サイドのタッチラインを割る。極めてゴールの可能性が低いシュートだったが、齋藤の“今季初得点”に対する貪欲な姿勢が垣間見えるワンプレーだった。
「2-0だったし、もうラストだったので。敬真が呼んでだけど、全然出す気はなかった」
試合後、富樫にはパスを出さなかったことを謝ったという。もっとも、あの場面では自分の結果にこだわった。
リーグ戦のみならず、すべての公式戦で今季ここまでノーゴールが続く。そんな状況に、齋藤は「もう呪いかな」と自嘲気味に話す。
18分には、渡部博文を鮮やかに股抜きして決定機を作り出し、渾身の一撃を放つも、これは北本久仁衛の身体を張ったブロックに阻まれる。「決め切る力は大事」と反省を口にする一方で、ゴールに「近づいている感」は確実に掴んでいる。
痛めていた踵も「やっと痛くなくなってきた」。持ち前のドリブルで相手を置き去りにするシーンも増えてきた。チームの勝利を最優先に考えるスタンスに変わりはないが、「やっぱり代表に入りたいので。結果を出していかないと」と言葉に力を込める。
誰よりも相手のマークが厳しく、それを逆手にとって囮になる役目も厭わない。献身的な守備でも魅せるが、ゴールから見放される現状に、本人に思うところがあってもおかしくはない。
とはいえ、一時期の不調に比べ、コンディションは間違いなく上がってきているし、開幕当初に見せていた躍動感を取り戻しつつある。
「本当に、ここまで点が取れないのは、なんか憑いているのかなって思いますけど。でも、すごく良い経験だし、この辛い状況をしっかりと噛み締めていきたい」
待望のエースの一発が生まれれば、目下4連勝中のチームはさらに勢いづくはず。その瞬間まで、齋藤は決して諦めずに前を向いて戦う覚悟だ。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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