「和田がピッチに戻ってきても自分が試合を決めるぐらいの気持ちで臨んだ」
文句なしのMVP選出だ。横浜F・マリノスユースのMF遠藤渓太が、自慢の右足でゴールとアシストの山を築き、大会MVPに輝いた。
【日本クラブユース選手権】決勝PHOTO
第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は8月1日にニッパツ三ツ沢球技場で決勝戦を行ない、横浜ユースが5-3で大宮アルディージャユースを破り、2年ぶり6度目の優勝を果たした。
横浜ユースの遠藤は、通算7ゴールで得点王に輝き、決勝戦でもサイドから突破を見せたほか、3本のアシストで勝利に貢献。鮮やかな抜け出しから先制点、インターセプトでショートカウンターの起点となり2点目、ピンポイントの長弾道クロスで4点目を演出。また、自陣ゴール前のピンチでシュートブロックに入るなど守備でも実のある働きを見せた。
松橋力蔵監督は「この夏の大会において、爆発的な成長を遂げた。似たような(タイプの)選手はいっぱいいると思うけど、試合を決められるとか、相手をひとりはがせるとか、そういうプレーヤーがとても重要。シュートブロックの部分でもあそこで止められるか、止められないかが試合を左右する。そこではFWだとかDFだとかは関係ない」も高い評価を与えた。
遠藤は、下級生の頃からサイドで鋭利なアタックを見せる好選手ではあったが、その名を全国に轟かせるには至っていなかった。そこには、チームのエース格であるFW和田昌士の存在が影響している。
和田はU-15やU-16の日本代表に選ばれ、早くから注目を集めてきた。昨季は、クラブの期待を受けてマンチェスター・シティーへの短期留学を経験。今季も2種登録されたトップチームでプレシーズンマッチに出場するなど、同世代のトップクラスの選手として活躍を見せている。
今季の横浜ユースと言えば、やはり和田はとりわけ目玉と言える存在だった。しかし、今大会前に練習で足首をねんざ。前橋で行なわれた準々決勝までは帯同せず、リハビリに専念した。エース不在――そうしたチーム状況が遠藤を目覚めさせた。
遠藤は「初戦で3点を取って、得点王になってやるぞとチームメートに言っていたけど、まだ本気ではない感じだった。でも、グループステージを通して5点決めて、そこから意識が変わって、得点王もMVPも両方取ってやるって昌士に言ったら、それはずるいわって言われたけど、それを実現できた」とタイトルを総なめにした喜びを話した。
結果が自信を生み、自信が責任感をもたらした。自分がチームを勝利に導くという強い気持ちが、チャンスとピンチに必ず顔を出した理由だ。和田がチームに合流した準決勝の後、遠藤はこれまでにない強い自覚を持って試合に臨んでいたことを明かした。
「今まではチームがアイツに頼ってしまっていたし、自分自身にも頼っていた気持ちがあって、たぶん、それで点が取れなかった時期も長かった。今日は、アイツがベンチにいても、ピッチに戻って来ても自分を貫き通して、自分が試合を決めるぐらいの気持ちで臨んだ」
横浜ユースに遠藤あり。強い自覚で才能を開花させた新エースの誕生だ。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
【日本クラブユース選手権】決勝PHOTO
第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は8月1日にニッパツ三ツ沢球技場で決勝戦を行ない、横浜ユースが5-3で大宮アルディージャユースを破り、2年ぶり6度目の優勝を果たした。
横浜ユースの遠藤は、通算7ゴールで得点王に輝き、決勝戦でもサイドから突破を見せたほか、3本のアシストで勝利に貢献。鮮やかな抜け出しから先制点、インターセプトでショートカウンターの起点となり2点目、ピンポイントの長弾道クロスで4点目を演出。また、自陣ゴール前のピンチでシュートブロックに入るなど守備でも実のある働きを見せた。
松橋力蔵監督は「この夏の大会において、爆発的な成長を遂げた。似たような(タイプの)選手はいっぱいいると思うけど、試合を決められるとか、相手をひとりはがせるとか、そういうプレーヤーがとても重要。シュートブロックの部分でもあそこで止められるか、止められないかが試合を左右する。そこではFWだとかDFだとかは関係ない」も高い評価を与えた。
遠藤は、下級生の頃からサイドで鋭利なアタックを見せる好選手ではあったが、その名を全国に轟かせるには至っていなかった。そこには、チームのエース格であるFW和田昌士の存在が影響している。
和田はU-15やU-16の日本代表に選ばれ、早くから注目を集めてきた。昨季は、クラブの期待を受けてマンチェスター・シティーへの短期留学を経験。今季も2種登録されたトップチームでプレシーズンマッチに出場するなど、同世代のトップクラスの選手として活躍を見せている。
今季の横浜ユースと言えば、やはり和田はとりわけ目玉と言える存在だった。しかし、今大会前に練習で足首をねんざ。前橋で行なわれた準々決勝までは帯同せず、リハビリに専念した。エース不在――そうしたチーム状況が遠藤を目覚めさせた。
遠藤は「初戦で3点を取って、得点王になってやるぞとチームメートに言っていたけど、まだ本気ではない感じだった。でも、グループステージを通して5点決めて、そこから意識が変わって、得点王もMVPも両方取ってやるって昌士に言ったら、それはずるいわって言われたけど、それを実現できた」とタイトルを総なめにした喜びを話した。
結果が自信を生み、自信が責任感をもたらした。自分がチームを勝利に導くという強い気持ちが、チャンスとピンチに必ず顔を出した理由だ。和田がチームに合流した準決勝の後、遠藤はこれまでにない強い自覚を持って試合に臨んでいたことを明かした。
「今まではチームがアイツに頼ってしまっていたし、自分自身にも頼っていた気持ちがあって、たぶん、それで点が取れなかった時期も長かった。今日は、アイツがベンチにいても、ピッチに戻って来ても自分を貫き通して、自分が試合を決めるぐらいの気持ちで臨んだ」
横浜ユースに遠藤あり。強い自覚で才能を開花させた新エースの誕生だ。
取材・文:平野貴也(フリーライター)