メキシコ戦は先手必勝の展開で、相手がまだ本領を発揮する前に立て続けに２点を取れたのが大きかった。先制点は堂安がよく裏を狙っていたし、久保もタイミングの良い入り方をした。PKを獲得したシーンは運が良かったようにも見えるけど、ただそれも相馬がしっかりと際どいエリアで仕掛けたからだ。

　相手が自陣に引きこもった南アフリカ戦とは違って、メキシコは前から来てくれたから日本としては堂安や相馬、あるいは林がどんどん裏のスペースを狙って飛び出していけた。中盤で遠藤や田中が積極的にインターセプトを狙ったのも相手の縦パスに対する良い牽制になった。

　早い時間帯で２点取れてしまったことで後半は少し守備を意識する苦しい展開になってしまったけど、概ね試合の流れは日本の狙い通りに進められたんじゃないか。相手の攻勢は予想されたけど、カウンターを繰り出してその背後を効果的に突くような攻めもあった。

　欲を言えば、１点を返される前に３点目を取って相手の戦意を完全に奪うような展開に持ち込みたかった。２-１にされたことで、メキシコも勢いづいて最後はちょっと危ない流れになったからね。チャンスはあっただけに、やはりダメ押しの１点を取り切れなかったのは課題だよ。
 

　とはいえ、メキシコ戦はゴールのきっかけを作る仕掛けを見せた堂安や相馬はもとより、11人全員がそれぞれ自分の持ち味を発揮できていたと思うよ。後ろもGKの谷がビッグセーブでチームを救い、DF陣もセンターバックの吉田、板倉をはじめ最終ラインはメキシコのパスワークに粘り強く対応していたし、空中戦でも相手の高さに負けていなかった。前のほうも運動量豊富に前線からきっちり守備で貢献しながら、効果的にカウンターを発動していた。チームとしても守備から攻撃、攻撃から守備という切り替えが組織的に上手くできていたね。

　グループリーグ最終戦のフランスは南アフリカを相手に勝ったとはいえ、３失点している。がむしゃらに点を取りに来ていて少し守備意識が薄くなっているようだ。相手は２点差以上で勝つことが突破の条件（※メキシコが南アフリカに勝利した場合を想定）となってくるから、やはり立ち上がりからどんどん前掛かりに攻めてくるだろうね。そんな相手に怯まずに戦い、勝てなくても“負けない”試合をして、決勝トーナメント進出を掴み取ってほしい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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