Jクラブで実績を作るまで海外クラブは待ってくれない…日本サッカーがとるべき対応策は?
ただし、プロ1~2年ではJクラブで絶対的主力の座を勝ち得ていない選手も少なくない。「ロクにJの試合にも出ていないのに海外に移籍するのは早すぎる」「もっとJで実績を作ってから行くべき」という声もよく聞かれる。が、柳田氏は「世界的な傾向を見ても、昨今は選手のスカウティング対象年齢が年々若くなっており、海外のクラブはJリーグでプレーする若手選手がクラブで絶対的主力になるまで待ってはくれません。それを日本サッカー界全体が理解し、対応策を考えることが重要です」と指摘する。
「鹿島アントラーズやFC東京などから毎年のように欧州に移籍する選手が出ていますが、Jリーグ屈指の強豪クラブであっても、海外からオファーが届けば挑戦したいという選手の夢は引き止められないという現実を表しています。だとすれば、当初から選手と協議を重ねて海外移籍のタイミングや条件についての共通理解を構築しておき、いざ移籍するとなった際にできるだけ大きな移籍補償金を取りつつ、あらかじめリストアップしておいた他クラブの選手を補強することで競争力の維持・向上を図るという戦略を取っていく必要があると考えます。そこで私たちのような仲介人をうまく使ってくれれば共存共栄の関係になれる……。そう捉えてもらえたら有難いと思います」
これから主力として活躍してほしいと期待を寄せてくれるクラブを出ていく選手の方も成功への覚悟が必要だ。「海外に行ってダメなら戻ってくればいい」といった甘い考えでは絶対にトップレベルに上り詰めることはできない。改めて自分に厳しくなってほしいと柳田氏も強調する。
「鹿島アントラーズやFC東京などから毎年のように欧州に移籍する選手が出ていますが、Jリーグ屈指の強豪クラブであっても、海外からオファーが届けば挑戦したいという選手の夢は引き止められないという現実を表しています。だとすれば、当初から選手と協議を重ねて海外移籍のタイミングや条件についての共通理解を構築しておき、いざ移籍するとなった際にできるだけ大きな移籍補償金を取りつつ、あらかじめリストアップしておいた他クラブの選手を補強することで競争力の維持・向上を図るという戦略を取っていく必要があると考えます。そこで私たちのような仲介人をうまく使ってくれれば共存共栄の関係になれる……。そう捉えてもらえたら有難いと思います」
これから主力として活躍してほしいと期待を寄せてくれるクラブを出ていく選手の方も成功への覚悟が必要だ。「海外に行ってダメなら戻ってくればいい」といった甘い考えでは絶対にトップレベルに上り詰めることはできない。改めて自分に厳しくなってほしいと柳田氏も強調する。
「日本ではプロであっても20歳そこそこでは若手選手扱いですが、周囲に守られてサッカーをしているだけでは、ひとり立ちできません。食事や睡眠・休養などのコンディション作りを身につけるとともに、自分に矢印を向けて成長するマインドをつねに持つことが大切です。
海外に行けば理不尽なことは日常的にありますし、監督に突然使われなくなったり、自分と同じポジションの選手を補強されたりといったことは日常茶飯事です。そこで『○○が悪い』と人のせいにしていても、何の解決にもなりません。昨年引退した内田篤人氏も『欧州で長く活躍しようと思うなら、うまくいかない時の行動が問われる』と話していましたが、全くその通りだと思います」
日本人CL出場実績トップの内田を筆頭に、川島永嗣(ストラスブール)、長谷部、長友佑都(マルセイユ)など10年以上、欧州で活躍し続けている面々は、どんな困難に直面しても決して言い訳せず、真摯な姿勢でサッカーに向き合い続けている。
彼らのように成功できる日本人選手を増やすべく、若手を教育し、意識を変えていくことも仲介人のひとつの仕事かもしれない。単に好条件の移籍だけ成立させればいいというわけではないのだ。
取材・文●元川悦子(フリーライター)