【連載】週刊サッカーダイジェスト・メモリアルアーカイブ その3――1993年12月29日号

カテゴリ:特集

サッカーダイジェスト編集部

2015年03月08日

Jリーグ一の人気チーム、ヴェルディが初のステージ優勝達成!

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初ステージ制覇に歓喜。これで人気実力ともにJリーグの顔となったヴェルディだが、この時が危機の始まりでもあった。

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 12月8日、Jリーグのニコスシリーズ17節でヴェルディ川崎が初優勝を飾った。対戦相手の浦和は、サントリーシリーズ(優勝は鹿島)に続き、またしても目前で相手の優勝を眺める屈辱を味わった。
 
 Jリーグの盟主を自負しながらもファーストステージで初代王者という栄誉を逃がしていたヴェルディにとっては、悔しさを晴らす悲願の初優勝。それは、シーズン最中に大幅なスタイルを変更して勝ち取った栄冠だった。
 
――サントリーシリーズでのヴェルディは、開幕戦に象徴されるように、昨年に比べても誰もが違う印象を受けた。
 
 ハンセン、マイヤーというオランダ人選手を呼んで、“速いサッカー”を導入しようとした首脳陣に、選手たちはついていかなかった。「サントリーシリーズのころはみんなバラバラだった」と、彼らは口々に語っている。
 
 ところが、ニコスシリーズに入るとヴェルディはひと皮むけていた。中盤の選手はそれぞれ仕事をこなし、武田、三浦はゴールを量産していった。
 
 好調を維持するヴェルディは、その後、連勝街道をひた走り、16節の首位攻防戦でエスパルスに1-0の勝利。この時点でニコスシリーズ優勝をほぼ手中に収めた。
 
 そこには、ビスマルクの活躍があった。ボールを持てば、相手DFが反則でもしないかぎり止められない。つなぎ役もこなせれば、スルーパスも出せる。北澤は「ビスマルクがグラウンドにいると、攻撃のリズムができ、最後はシュートで終われる」と語っていた。
 
 ビスマルクが加わったことで、ヴェルディは息を吹き返していった。「彼のプレーには一つひとつ意図がある。このことは若手に、もっとプレーの幅を広げなくてはという、これまでのサッカー観を変えるほどの好影響を与えた」と松木監督は語っていたが、ビスマルクのプレーは、選手層の厚さにも結びついたのだった。
 
 攻守に安定した力を発揮したヴェルディは、やはり優勝にふさわしい実力を備えていたといえる。エスパルスの健闘を除くと、他のチームがあまりにも不甲斐なかった。これがヴェルディを突っ走らせてしまった要因でもある。
 
 だが、ビスマルクが入り、チームがバランスよく機能し、守備がまとまったヴェルディは、確実にレベルを向上させていった。残すは天皇杯とチャンピオンシップ。ここでどういう戦いをみせてくれるのか。さらなる飛躍を期待したい。――
 
 スター揃いでJリーグ一の人気を誇っていたヴェルディは、王者の称号を手に入れた。日本リーグ時代からの強豪クラブは黄金時代に突入し、その後も長きにわたって盟主の座に君臨していくのではないかとも思われた。
 
 しかし、その一方でこの時期、ヴェルディ首脳陣が一方的に、本拠地を数年のうちに川崎市から東京都(調布市)へ移すと明言したことが大きな論争を巻き起こしていた。川崎市がヴェルディの要請に応え、多額の資金を投じて等々力競技場の増築に着手した矢先のことだった。
 
 Jリーグの“地元密着”という理念にも反する行為として、「人気チームの驕り」「思い上がりも甚だしい」などと大批判を浴びたヴェルディ(本号でも多くの識者が苦言を呈している)。このことが、このクラブの未来に暗い影を落としていくこととなる……。
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