「センターバック」
マタイス・デリフト
■現所属クラブ:ユベントス
■代表/国籍:オランダ代表
■生年月日:1999年8月12日(20歳)
■身長・体重:189㎝・90㎏
■19-20公式戦成績:27試合・2得点・0アシスト
身長189センチ・体重90キロという強靭な身体に、必要十分なスピードとアジリティー、安定したテクニックと対人守備の強さ、鋭い読みと戦術眼、そして際立ったパーソナリティーとリーダーシップを備えた超ワールドクラス予備軍だ。
この年代のCBとしては段違いの完成度に達しており、しかもユベントスという競争力が高い環境の中で着実な成長を遂げている。
ユーベ1年目の今シーズンは、キエッリーニの故障離脱を受けて序盤戦から安定した出場機会を手に入れた。その当初は小さなミスが重なって失点に絡む場面も目に付いたが、試合を重ねるに連れてセリエAの環境とサッカーに慣れ、パフォーマンスも明らかに高まっている。
コンビを組むボヌッチが「最終ラインのレジスタ」としての機能を担っている関係もあり、ビルドアップにおける貢献度はそれほど高くはない。ただ、必要とあらばリスクを怖れない縦パスでボールを前に進める積極性は持ち合わせている。
現時点では数的不利やオープンスペースでの1対1といった守る側にとって難易度の高い状況では困難に陥るケースもあるが、経験値が積み上がればこうした場面の勝率も高まっていくはず。超ワールドクラスの仲間入りは、単に時間の問題でしかないだろう。
「センターバック」「ゴールキーパー」の超ワールドクラス候補は?
「ゴールキーパー」
ジャンルイジ・ドンナルンマ
■現所属クラブ:ミラン
■代表/国籍:イタリア代表
■生年月日:1999年2月25日(21歳)
■身長・体重:196㎝・90㎏
■19-20公式戦成績:26試合・33失点・10クリーンシート
すでにセリエAでレギュラーとして5シーズンを過ごし160試合以上に出場している守護神が、まだ21歳。にわかには信じ難い。
ミランというプレッシャーの大きなビッグクラブで、しかも困難な時期の方がずっと長い5年間を過ごす中で、一時的には停滞期を迎えたこともあった。
しかし直近の2シーズンは、プレー展開の読みや状況判断、シュートブロックや飛び出しの技術が着実に高まってミスの頻度も明らかに下がり、さらにビルドアップへの参加がより積極的かつ効果的になるなど、GKとしての総合的なクオリティ-が大きく向上している。
196センチという大柄な体格に似合わぬアジリティーに、際立ったパーソナリティーを備えた超逸材であり、年齢からすればGKとしての完成度の高さは驚異的なレベルにある。
超ワールドクラスへのステップアップに足りないのは、CLの舞台で主役を演じることで初めて得られる経験値だけだ。
それを愛するミランで果たすのか、それとも現クラブ以上のメガクラブに移籍することで果たすのかは、今後の見どころである。
分析●ロベルト・ロッシ
翻訳●片野道郎
●分析者プロフィール
ロベルト・ロッシ/1962年3月16日生まれのイタリア人監督。MFだった現役時代は、チェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキ(元イタリア代表監督)に、ヴェネツィアではアルベルト・ザッケローニ(元日本代表監督)に師事。99年に引退し、01~08年はラツィオやインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)を務める。その後は独り立ちして下部リーグの監督を歴任。19年1月からチェゼーナ女子(セリエB)の指揮官を務める。『ワールドサッカーダイジェスト』ではチーム戦術やプレーヤーの分析が好評を博している。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年5月21日号より転載