【浦和】シフトする強化方針。「育てて勝つチーム作り」に本腰を入れる

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年12月21日

過去、レンタル復帰組が主力となった例はないが……。クラブの「育成でも勝負する」という意気込みが感じられる。

クラブ初の「加入→即レンタル」で1年間千葉でプレーした長澤。浦和のユニホームを着る来季、前線にアクセントを加える役割が期待される。写真:徳原隆元

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 矢島、長澤、岡本らの“帰還”には、浦和流の「育成」でも勝負していこうという、クラブとしての意気込みが感じられる。実際、近年の補強を見ても、今季1年目にして活躍している遠藤航(23歳)、駒井善成(24歳)、2年目の高木俊幸(25歳)など、素質に加え戦術への対応力など柔軟性のある20代前半のタレントを積極的に加えている。
 
 このほど来季獲得が発表されたオナイウ阿道(千葉)は21歳、田村友(福岡)も24歳になったばかりと、まさにその補強の傾向に当てはまるタレントだ。槙野智章、興梠慎三、森脇良太、西川周作ら完成した選手を獲得してきた時代から、補強のスタンスも変わってきている。
 
 その背景には、チャンピオンズ・リーグ出場経験のあるスロベニア代表DFイリッチが今季鳴り物入りで加わったものの、思うようにフィットできかったことも少なからず関係しているだろう。ミシャスタイルが控え選手を含め隅々まで浸透するなか、「育てながらチームを強くする」方向へと舵を切り出している。一方で、J屈指の資金力を生かし、いつでもある程度の大物は獲得できる“余裕”も残している状況と言える。
 
 2010年までのフォルカー・フィンケ体制時代、思い切った世代交代により多くの若い選手が抜擢されたものの成績は伸び悩んだ。周りからは、若い選手を起用するだけならば誰でもできるという厳しい指摘さえも受けた。当時の反省も踏まえ、クラブはあくまでも浦和がJ最強であり続ける前提に立ち、育成と強化を両立させなければならない。それはかなり難しいテーマだ。
 
 岡山で不動の地位を築きリオ五輪代表に出場した矢島でさえ、浦和では厳しい戦いが待つ。彼の主戦場であるボランチでは、阿部勇樹、柏木陽介が不動の地位を築き、A代表選出歴のある青木拓矢、遠藤航が控える。そこに割って入るだけでも至難である。

 もちろん矢島自身はそのことは十分に理解しての決断である。浦和復帰に際して、「浦和へ復帰することになりました。また、サポーターの皆さんの熱い声援とともに埼スタのピッチで戦えることを楽しみにしています。ただ、簡単に試合に出られるとは思っていません。この決断が間違っていなかったと思えるように、より意識を高く持ってプレーします」とコメントしている。
 
 主力が次々と30代に突入し始めた。その中で、矢島らの突き上げなくして、浦和の未来は開かれないと言っても過言ではない。新たな競争と相乗効果が生まれるか――。

 来季、浦和がまさに一丸となって、さらなる高みを目指す。
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