初めての仲間たちと超即席でチーム作りをしたなか、そもそも日本代表自体が未知の領域だった。初めて飛び込んだ世界のスケールはやはり、とてつもなく大きかった。

「最初、練習場に着いた時に『メディアが多いな』っていうのが１番感じましたね。『練習でこんなに人がいるんだ』って。あと、ミーティングが頻繁にあって、擦り合わせが多い。初めて集まったメンバーだったのもあると思うんですけど。そのミーティング内で『ワールドカップ優勝』って言葉を当たり前に使うところも意識の高さというか。決勝トーナメント進出が目標だった2002年、2006年、2010年から、今は『優勝』を口にするのが当たり前になっていて、日本サッカーのレベルが上がっているんだなって改めて実感しました」

　学生時代には全日本大学サッカー選手権（インカレ）を制するなど、何度か頂点に立ったが、プロ生活においては８年目で掴んだE-1制覇が初のメジャータイトルだ。格別な“勝利の味”を知ったことで、この上ないモチベーションも身体全身で得ることができた。

「自分はどちらかと言えば、残留争いをするクラブにいたのもあって、今年久々に優勝や上位（サンフレッチェは現在５位）にいるんですけど、やっぱりタイトルは本当に最高です。これがリーグ戦とかになってくると長期で、フローが長ければ長いだけ、達成感はすごいと思うので、本当にタイトルは最高だなと改めて思います」
 

　来年の夏には北中米ワールドカップ（W杯）がある。当事者となり、日本代表の輪郭がより明確に見えた今、大舞台をどう捉えているのか。W杯への想いを単刀直入に訊いた。

「正直、ワールドカップを見るよりは、まず次の９月の代表遠征。そのメンバーに入って初めて本当に競争に入っていると言えるので、広島でしっかり結果を出して、９月の招集でチャンスをもらえるように。来年のワールドカップを見すぎても良くない。E-1で１つ、次にチャンスを与えてもらえそうな結果を残せたなかで、まずは次の活動に呼ばれるぐらいの結果をチームで残さないといけないなと思います」

　来年６月の前に今年９月――。E-1得点王は北中米W杯の開催国メキシコ、アメリカとぶつかる２連戦のメンバー入りを果たせるか。終盤戦に向かいつつあるJ１で、E-1級の爆発が求められる。

取材・文●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）

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