特筆すべきは、マルティン・スビメンディ、ミケル・メリーノ、ペドリ、ダニ・セバジョス、カルロス・ソレールら多士済々なタレントが揃う中盤の陣容だろう。この中でダニ・セバジョスとペドリは不動のレギュラー。残り1つのポジションをスビメンディとミケル・メリーノが争う構図となりそうだ。
さらに前線もアセンシオ、ダニ・オルモ、オジャルサバル、ブライアン・ヒル、ハビ・プアドと質量ともに決して見劣りしない。この中で最初3人を同時に起用するために、デ・ラ・フエンテ監督は偽9番(ゼロトップ)の採用を選択肢に入れている。
このスペイン五輪代表は、このままEUROに出場しても上位進出が可能だったほどのポテンシャルを秘めていると個人的に考えるが、そんな中でキーマンはダニ・セバジョスだろう。早くから五輪に照準を定め、実際、バカンス中も最初の6日間休んだだけで、その後の1か月間、自主的にトレーニングを積み、コンディションを万全に仕上げてきた。
その努力が実り、練習でも好調なプレーを見せている。また優勝にMVPと最高の結果を手にした2015年のU-19欧州選手権を皮切りに、2年後のU-21欧州選手権でMVP受賞(チームは準優勝)、さらに2年後の同大会で優勝という目覚しい実績が示すように、セバジョスはデ・ラ・フエンテ監督が率いるチームでキャリア最高のプレーを見せてきた(17年U-21欧州選手権の監督はアルベルト・セラーデス)。
もともと信頼されていると意気に感じるタイプで、中心選手としてプレーできる環境がプラスに働いている。そしてその経験はオーバーエイジとして臨む今大会でも必ず生きてくるはずだ。
加えてアーセナルでの2年間のローン生活を経て、レアル・マドリーにレンタルバックされた形となっている24歳は、新シーズンにどこでプレーするか現時点で明確には決まっていない。当然、五輪でアピールに成功すれば、自身が希望するマドリー復帰に近づき、それがまたモチベーションにもなっている。
中盤は多士済々のタレント揃い
他にも同じくオーバーエイジ(もう1人はミケル・メリーノ)として参加し、膝の大怪我から2年が経過し、完全復調へのきっかけを掴みたいアセンシオ、EUROで大活躍を見せたペドリやダニ・オルモと注目選手は枚挙に暇がない。
当然スペイン国内での関心も高まっている。EUROでスペインは当初の予想を上回る快進撃を見せたが、終わってみると優勝したイタリアとはほんの紙一重の差であり、チームの戦いぶりに満足しながらもどこかモヤモヤとした感覚が我々の中に残っている。そのバトンを受け継ぐのが五輪代表であり、国民は最強のスカッドという前評判に見合った結果を期待している。
加えて1年半後にはワールドカップが控えている。今回のメンバーの多くがカタールの地でも主力を担っているはずで、A代表の強化という点でも、今回の五輪は重要な意味合いを持っている。
文●セルヒオ・サントス(アス紙五輪代表番)
翻訳●下村正幸