準決勝では鈴鹿に６-０で大勝するも、小林はトップ下でミスが目立ち、決勝戦では「トップ下ではなく、サイドでプレーして調子を上げてほしいと思った」（樋口監督）と、左サイドハーフで起用。しかし、ここでもボールが思うように足に付かず、ボールを奪われてカウンターを受けるシーンが目立った。
 
　３年ぶりのインターハイを手にするなかで、二枚看板の明と暗がくっきり別れた。
「颯の復調が鍵になる。インターハイまで時間があるので、しっかりとコンディションを上げていければ」
　樋口監督がこう語るように、森島と小林の存在は今年のチームの絶対的な生命線となる。彼らを軸に、伊藤、上田が流動的に動いて、多彩なパターンでゴールを陥れる。これこそが今年のチームの最大の魅力であるだけに、インターハイでは万全のコンディションで臨みたい。
 
　一方、守備は高さこそないが、クレバーな対応を見せるCB舘幸希と服部樹を軸に、粘り強い守備を披露し、春先と比べてライン統率の精度は格段と増している。
 
　全国屈指の攻撃力を武器に、３年ぶりのインターハイに臨む東海の名門・四中工。森島がタクトを振るう攻撃は、どんな破壊力を見せてくれるのか。そして小林はキレのあるプレーを全国に見せつけられるのか。伸びシロを十分に秘めた彼らのさらなる成長に期待したい。
 
取材・文：安藤隆人