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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の二十「選手を覚醒させる“マッチョイズム”」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年05月28日

スタジアムという危険な装置は、才能を生かしも殺しもする。

柏のサポーターと刺激し合い、クラブの象徴にまで成長した北嶋。スタジアムの熱気について「俺ら選手は『日立台ドーピング』って呼んでいた」と説明する。(C)SOCCER DIGEST

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「柏のサポーターとの関係は、チームメイトのような感覚でしたね。サポーターに『戦えよ!』って言われると、選手に返すのと同じテンションで『お前らも戦えよ!』って言い返せました」
 
 柏の伝説的選手である北嶋秀朗は、かつて拙著『グロリアス・デイズ』のなかでスタジアムの熱気が及ぼす影響について語っている。
 
「“うるせえな”という気持ちはどこかにあるんですよ。でも仲が悪いんじゃなくて、お互い刺激をし合っている。俺ら選手は『日立台ドーピング』って呼んでいたんですけど、日立台でプレーする選手はそうやって覚醒しました。スタジアムに選手の才能を目覚めさせる力がある。自分をぶつけられるサポーターには今でも感謝しているし、そのクラブにいられたことは誇りに思っています」
 
 スタジアムという危険な装置は、選手の才能を生かしも殺しもする。
 
「ガレスはマドリーでひどい批判を浴びている。それはきっと、かつてないプレッシャーだろう。しかし、あいつは重圧に向き合わなければならない」
 
 かつてトッテナムでベイルを指導したハリー・レドナップ監督は、冷静にエールを送っている。
 
「逆境を必ず乗り越えられる、とガレスはひたすら信じるべきだ。イングランドに戻って来るなんてことは、考えるべきではない。あいつは今、世界最高のクラブでプレーしている。もとより、簡単な挑戦ではないだろう。しかし、ガレスは男たちの“マッチョな世界”にいる。弱音を吐いても始まらないさ。監督として言うならば、あいつは信頼してやれば意気に感じて応える選手。自分の人生は自分の手で掴めるはずだよ」
 
 魔物が棲むと言われてきたベルナベウでは、フットボールの歴史を飾る多くの英雄的フットボーラーが生まれている。
 
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
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