• トップ
  • ニュース一覧
  • 「1バックでリスクを負った…」静岡学園はいかにして苦境を跳ねのけたのか。清水東との壮絶戦、その舞台裏を紐解く【総体予選】

「1バックでリスクを負った…」静岡学園はいかにして苦境を跳ねのけたのか。清水東との壮絶戦、その舞台裏を紐解く【総体予選】

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2021年06月07日

29年ぶりの全国へ。冬でのリベンジを期す“紺碧の古豪”

清水東の主将・佐野(10番)は試合後、冬での捲土重来を誓った。写真:徳原隆元

画像を見る

無類の勝負強さを発揮した静岡学園。インターハイは4年ぶりの出場だ。写真:徳原隆元

画像を見る

 そして後半25分、野村が左サイドを突破してクロスを上げると、ファーサイドでフリーになったFW川谷凪が倒れ込みながらも右足で強烈なシュートを叩き込んで1点を返す。さらに同28分には玄のパスを受けた右サイドバックの松永颯汰が、4バックにシステム変更をした清水東のDFラインのギャップを突いて、同点弾を右足で叩き込んだ。

 3-3。壮絶な撃ち合いとなったゲームはここから一進一退の攻防戦となり、両チームとも集中した守備でこれ以上ゴールを割らせなかった。

 延長戦の20分間でも決着が付かず、勝負はPK戦へ。ここでも7人目までもつれ込んだが、清水東の7人目、MF近藤快正のキックをGK生嶋がストップし、その直後にMF清水和馬がきっちりと決めて勝負あり。100分間に渡る決戦を静岡学園が制して、4年ぶりのインターハイ出場を手にした。

「1-3になっても後ろを2バック、ときには1バックにしてリスクを負いながらも攻撃に出たことで、追いつくことができた。インターハイではこの試合の経験を活かして、もっと自分たちのやりたいサッカーを表現できるようにしたい」

 試合後、川口監督がこう語ったように、静岡学園にとってはまさに薄氷を踏む勝利だった。だが、決勝では10番を背負う古川陽介を負傷で欠きながら、苦境に立たされても持ち前の攻撃サッカーを発揮できたことは、今後に向けた経験値として大きくプラスに働くだろう。
 
 一方、29年ぶりの悲願達成を逃した清水東の渡邊勝己監督は、「正直、本当に悔しい」と素直な胸の内を明かしつつ、「これで冬に向けて3年生が残ってくれるかもしれない。この悔しさをチームとしてこれからにつなげていきたい」と語った。県下トップクラスの進学校ゆえ、インターハイ予選終了後に毎年主軸の3年生が多く抜けるが、冬に向けてのリベンジを果たさんと、彼らの心に火がつくことに期待を寄せた。

 実際にキャプテンの佐野は「この悔しさを味わってしまうと、ここで辞めるのは後悔が残る。冬まで部に残ります」と宣言するなど、この激戦が彼らの闘争心を滾らせたことは確かだ。

 静岡学園はインターハイ初制覇に向けて、清水東は選手権で29年ぶりの全国を掴み取るべく、それぞれがこの熱戦からリスタートを切る。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【PHOTO】2021年の高校サッカー界を彩る主な注目株を写真でチェック!~東海・北信越編
【関連記事】
編集部が選定!! 2021年の高校サッカー界を彩る注目プレーヤー300選~東海・北信越編
【総体予選】静岡学園が清水東を下して全国行き! 福岡、滋賀で新星が台頭するなど、新たに13府県で代表校が確定!
プロ大注目の2年生、大迫塁が神村学園を全国へ導く決勝弾! 逸材を進化させた「松木の言葉」と「Jクラブで得た手応え」
昨季プロ5名輩出の興國高に驚異の1年生ドリブラーが台頭! 中3時のJ1横浜練習参加で意識変化
編集部が選定!! 2021年の高校サッカー界を彩る注目プレーヤー300選~関東編

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ