ちなみに、プレゼントの“中身”については、「僕のプレーを観ていただいて、みなさんから『こういうところか』と言っていただければ。なので、週末は埼玉スタジアムに来てください（笑）」と報道陣を笑わせる（編集部・注／５月16日に浦和対FC東京戦）。
 
　トレーニングのふとした合間でも、ムードメーカーとしても期待されているはずの槙野の周りには笑顔が多い。、それでも当たり前の話だが、一つひとつのプレーからは真剣さが伝わってくる。
 
　ランニングでは先頭を切って走る。ただそれは、槙野にとってはごく自然な行動で、代表だからといって特別な振る舞いをしているわけではない。
 
「どこでやっても前に立って走りますし、いつもどおりですよ。そんなに強くアピールは考えていないです」
 
　ただ、短期間の合宿だけに、「やるべきことはやる」と、短い言葉の中にも秘めたる想いが込められていた。
 
「短い時間のなかで自分の良さを出さないといけないし、チームの規律のなかでなにができるか。遠慮していて終わってしまうのはもったいない」
 
　その言葉どおりのパフォーマンスは十二分に披露していた。浦和での好調も良い流れとなって、「そういうところを評価してもらっていると思いますし、楽しくやれています」と言う槙野の存在感は一層、際立っていたように見えたし、本人にとってはもちろん、チームにとっても実り多き２日間だったのではないだろうか。
 
　約１か月後に迫ったロシア・ワールドカップのアジア２次予選を見据えれば、「監督に与えられたことを自分の中でしっかりと消化する。球際、パススピード、切り替え、そして気持ちを前面に出したところ。そういう日本人に求められるスピリットを、国内でも見せていかないといけないと思います」と、熱っぽく語る。
 
　ピッチ上でもミックスゾーンでも、常にエネルギッシュでポジティブな槙野の次なる進化は、まずは今週末の埼玉スタジアムで見られそうだ。
 
取材・文：広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）