「このチームで上がれたら、一番うれしい」
とはいえ、現状は簡単ではない。1部昇格をめぐる争いは混戦状態だ。第22節終了時は4クラブが勝点42ポイントで首位に並んでいたが、第23節後は、ボーフムとホルシュタイン・キールが45ポイントに伸ばし、ハノーファーとの差は11ポイントに広がった(2部リーグは1・2位が自動昇格、3位が入れ替え戦プレーオフに回る)。
そして、上位陣のこれまでの負け数が4~6敗というのに比べ、ハノーファーの9敗はやはり多い。残り11試合だということを考えると、ドイツ・メディアで取り上げられているように、来季も2部リーグで戦うという想定でプランを立てる必要に迫られているのも理解できる。
とはいえ、シーズンはまだ終わっていない。混戦状態ということは、どこも万全ではない証拠でもあり、今後、調子を崩して連敗する可能性はある。ハノーファーにしても、ほとんどの試合で優勢的に試合を運べているのだから、攻撃陣がうまくかみ合い、連勝街道をひた走る可能性も否定できない。
昨シーズン、まだスタジアムで取材が許されていたころ、原口はこう語っていた。
「このチームで(一部に)上がれたら一番うれしい」
フィールドでプレーするの姿を見ていると、その思いは今も変わらず、むしろ、あの時よりもさらに強くなっているのではないかと感じるのだ。
そして、上位陣のこれまでの負け数が4~6敗というのに比べ、ハノーファーの9敗はやはり多い。残り11試合だということを考えると、ドイツ・メディアで取り上げられているように、来季も2部リーグで戦うという想定でプランを立てる必要に迫られているのも理解できる。
とはいえ、シーズンはまだ終わっていない。混戦状態ということは、どこも万全ではない証拠でもあり、今後、調子を崩して連敗する可能性はある。ハノーファーにしても、ほとんどの試合で優勢的に試合を運べているのだから、攻撃陣がうまくかみ合い、連勝街道をひた走る可能性も否定できない。
昨シーズン、まだスタジアムで取材が許されていたころ、原口はこう語っていた。
「このチームで(一部に)上がれたら一番うれしい」
フィールドでプレーするの姿を見ていると、その思いは今も変わらず、むしろ、あの時よりもさらに強くなっているのではないかと感じるのだ。
前節のグロイター・フュルト戦は、2-2の引き分けに終わった。だが、1-1と同点に追いつかれて嫌な雰囲気が漂い始めた直後、味方が勝ち越しゴールを決めたとき、原口は誰よりも満面の笑みを浮かべ、勢いよく喜びの輪に飛びついていた。その感情のほとばしりからは、どれほどこのクラブを愛しているかがストレートに伝わってきた。
ドイツ・メディアでは「1部昇格を逃せば原口レベルの選手を保持できるだけの年俸を支払うことができず、放出もやむなし」という論調で書かれる記事も見かけるようになった。それもひとつの大事な要素だろう。だが、裏を返せば、それだけが理由になりはしないはずだ。
1部リーグでプレーしたいという思いも、選手なら当然の願いだ。そしてこのハノーファーでプレーしたいという思いも、選手にとって大切な原動力となる。
もし来季も2部リーグでプレーする状況になれば、マルティン・キント会長は「原口を説得するために話し合いをお願いするつもりだ」と地元紙のインタビューに答えていた。クラブにしても、チームの屋台骨となっている選手を簡単に諦めるつもりはないだろう。
最終的に原口は熟考を重ね、納得のいく答えを出すはずだ。けれど、今はまだその時期ではない。昇格への可能性がある限り、原口はハノーファーのために全力でプレーし続けるのだから。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
ドイツ・メディアでは「1部昇格を逃せば原口レベルの選手を保持できるだけの年俸を支払うことができず、放出もやむなし」という論調で書かれる記事も見かけるようになった。それもひとつの大事な要素だろう。だが、裏を返せば、それだけが理由になりはしないはずだ。
1部リーグでプレーしたいという思いも、選手なら当然の願いだ。そしてこのハノーファーでプレーしたいという思いも、選手にとって大切な原動力となる。
もし来季も2部リーグでプレーする状況になれば、マルティン・キント会長は「原口を説得するために話し合いをお願いするつもりだ」と地元紙のインタビューに答えていた。クラブにしても、チームの屋台骨となっている選手を簡単に諦めるつもりはないだろう。
最終的に原口は熟考を重ね、納得のいく答えを出すはずだ。けれど、今はまだその時期ではない。昇格への可能性がある限り、原口はハノーファーのために全力でプレーし続けるのだから。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中